星の王子さま

 


「ボクはバラを愛していたんだよ」
「ミクリさんが言いそうなセリフも、ダイゴさんが言うとどうも違和感と言うか、本気が伝わってこないので、それはバラに対する冒涜だと思いませんか」
「ハルカちゃんはバラが嫌いかい」
「アナタの知ってる物事が全部、他の人間も知っているとか、そういう妄想、やめてもらえませんか」
「手厳しいねぇ」
「わたしが、まるで可愛げのない生き物のような言い方、止めて下さい」
「ごめんね、うん、そうだね。ハルカちゃんはこんなにかわいくって、きれいでそれで、こんなに僕が恋焦がれて仕方ないのに、そういう言い方は、酷いね」
「いっぺん殴らせてくれるなら、もう文句は言わないかもしれませんよ」
「ハルカちゃんに殴られるのは僕がハルカちゃんに飽きたときだけだって決めてるんだよ」
「ねぇダイゴさんあなた自分がものすごく自分勝手で失礼で容赦ないこと言ってるっていう自覚あるんですかああないにきまっていますよねないからアナタそんなことばかっかり」
「そうそうそれでね、ハルカちゃん。ボクはバラを愛していたんだよ」
「過去形に変わりましたね、ダイゴさん」
「別にそれはどちらでも構わないさ。だって、愛していたのは王子さまで、ボクは、僕というわけでもないんだからね」
「声に出した言葉の漢字変換悟れるような生き物、あんまりいないと思いますけど」
「ハルカちゃんはやれば出来る子じゃあないか」
「いい言葉ですが、使いどころが間違っていますよ」
「王子さまはたくさんのバラを見て初めて、自分のバラが一番綺麗だったって気付いたんだよ、ねぇ、すごいだろ?」
「それがアナタが突然チャンピョンをやめた理由だとか言ったらわたし、アナタに星の王子さまなんで読ませた野郎を見つけ出してカイオーガの地底に足コンクリで固めて沈めたいとか、思いますよ」
「過激だね、僕のことを愛してくれているんだね」
「やっぱり一回殴らせてくれませんか」

 


Fin

(3/5/2007 11:05 PM)

 

・セリフだけで書いてみよう企画。