「凄いね、今日も、たくさん殺したんだ」
それしか言えないのかと自分を卑下しながらも、は同じ言葉を呟いた。どうして、どうしてこの本当は誰よりも優しい彼が、こんな所業に巻き込まれなければならないのだろうか。自分、ならまだ理由も判る。という生き物は、そのために生まれてきたのだから、世界を憎む前に、ある程度のあきらめは着く。けれど、けれどこの、仕方がなく優しい彼は、その両親も、先祖にいたるまでも通常のケロン人で、彼だけが常識を逸脱しなければならない理由などはどこにもなかったのだ。
ある程度未来の想定が出来て生きてきた自分と、そうとは知らずキラキラと輝いた未来を求めてきた彼とでは、やはりその地獄も違う。それに、それに、あまりこういうことは認めたくはないのだけれど、自分には、やはり特権が与えられている。それはの代用品は、今のところケロン軍の科学力では作れないからであって、もし、のクローンを、このケロロと同じようにいともたやすく出来るのであれば、はもう少しだけケロロのことを理解することができたかもしれない。
所詮、同じだといっても、は絶対的に肉体を守られた水の塔に生きる立場で、ケロロは死ねばすぐにコピーに変換される気安さのある立場だ。その差に生じるお互いへの不信感というものは、言葉にはしないまでも、確かにあった。
「ねぇ、ケロロくん。ひとを殺すって、どういう感じ?」
好きになんてならなくてもいいし、麻痺なんてしなくてもいいのに。がぎゅっと泣き出しそうなほど眉を寄せて呟くと、ケロロがゲロゲロと笑った。
「そうでありますな」
(差別化して逃げるなんて、そんな浅ましいことはしないでね)
・セリフだけで書いてみよう。
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