「どうして、ここにいるんですか」
「どうして勝手に出て行きやがったんですかコノヤロー」

真っ赤に目を晴らした銀時と、御鈴廊下の最奥の、あの、例の、近藤が閉じ込められている部屋で、ぎゅっと、抱きしめられて目を伏せた。クラクラクラクラ、酸素が急になくなって一瞬眩暈、それでも、その酸素喪失、恐ろしくはなくて、暖かくゆっくりゆくりと力を緩められて肺に吸い込まれる息が愛しい、と思えた。

「いつも、いつもそうだ、俺ぁ…なんでか、どうしても、お前だけは、間に合わないんだよ、なぁ、なんでだよ、銀兄さん、頑張ってんのに。お前のこと守りたいって、守るって、誓ってんのになんで、いっつも、こうなんだ……ッ」

銀時の悲鳴、に、は背後にいる山崎が、いつか自分にも来るかもしれない、可能性の未来にぞっと一瞬顔を青くして、それでも「自分は大丈夫」だと、ぎゅっと掌を握っているのだろうと、気配で察した。

いまだ椅子に腰掛けて、はらはらとしている近藤の、白いこと、白いこと。

「銀兄さん、大丈夫ですよ、わたしは、山崎さんが助けてくれました」

は銀時の癖のある銀色の髪に指を入れて、小さく震えるその頭、を、ゆっくり、ゆっくり、幼子、慰める母か姉のように撫でてあやして、ずるずると、の肩口、胸元、腹に、顔を下げて崩れて、しまいには床にへたりこんだ銀時を、抱きしめた。

(わたしはどうしても、この人を悲しませないでいることが、できない)




 



私たちの帰る家は、まだ燃えていないか

 

 






ぎゅっと、握り締められたままの手。は布団の中で何度も何度も、銀時の手を握り返して、しまいには、付かれきった銀時がの布団の隣、畳の上でごろんと、眠ってしまったのを見て笑う。

江戸城から出て、山崎と近藤は屯所に戻って、これまでのことをいろいろ、整理して、始末してくれるのだろう。自分が関わったことだが、それに関与するつもりはなく、あとは勝手に、いろんなことが終わるのを待つだけだと思った。

銀時は江戸城からずっとを離さず「疲れてんだろ、熱出す前に、ちゃんと薬飲んで、寝ろよ」なんて言ってを布団に入れて、離れで暫くいろんなことを話した。山崎のこと、が一番多かった気がする。銀時は山崎を許せなくて、でも、山崎なら大丈夫かもしれないと、そういう、期待をした、らしい。だから、結局は、銀時はいつものように出遅れたのも、しかたがなかった、のかもしれないと、嫌そうに言っていた。そういう、ものかもしれない。

「わたしは江戸城へ向かうべきではなかったのです」

ぼんやりと、は寝転がったまま天井を見つめて、呟いた。ひょいっと、顔を覗かせる、眼鏡をつけた、綺麗な女性。の声に一瞬銀時のほうへ視線を向けて、それで、が「だいじょうぶですよ」と微笑んで、枕元の香炉を指したので安心して降りてくる。

「眠香なんて、やるわね」
「こうでもしないと銀兄さん、一日中起きてしまって、しょうがないんです」

わたしはこういうの、聞きませんし、貴女も平気でしょうと、平然と言う。猿飛は眠りについている銀時の顔をじっと眺めて、このひとはどうしてこんなにも、守りたいという強い思いがあるのに、を「守れなかった」事実ばかりが残って悔いているのか、考えれば、その根底は、が銀時に守られようとしていないからだ、と今思い当たる。

さっちゃんは、眼鏡を外して布で丁寧に拭き出すと、何か言おうとしているの言葉を待った。冷静に考えれば、自分はに何かじっくり本音を語られる立場ではない、それにしては、まだまだ赤の他人、で、ある。
それでもがこうして気安く、何かを吐こうとしてくれているのは、が昔御祐筆という立場で、猿飛がお庭番であったからだろう。昔から、忍びはこうして、御祐筆の話し相手になっていた、からだろう。

それを思えば、と、猿飛、ハテ、と疑問に思えることがあった。では、山崎は、どうなのだろう。山崎に、が親しい口を利いたり、馴染んだりしたその根底は、本当に「段々と成った感情」ゆえのものなのだろうか。

「さっちゃんさん、」
「……考えても、しようのないこと、ね」

猿飛の思考を読んだ訳ではないだろうが、が深い溜息と共に名を呼べば、一瞬ひゅうるり、ひゅるり、と嫌な風が走ったようだった。それ以上を、考えるなと、気付くなと、そういう、目、声、音、色だ。

それで、さっちゃん、何事もなかったような顔をして、銀時の寝顔に見とれていると、が、ぼんやり、ぼんやりと、切り出した。

「高杉さんと一緒に行くべきだった、銀兄さんと一緒にいるべきだった、坂本さんと宇宙へ行くべきだった、桂さんと攘夷を持つべきだった。なのにわたしは、自分を選んでしまったんです」
「貴女、後悔しているの?」

猿飛がメガネを直しながら、聞いた。

「自分が将軍様を殺したことを?銀さんたちに黙っていたことを?」
「いいえ」
「ただ只管、憎悪に身を焼いた自分を?」
「はい」

選べる道は他にもあった。たくさん、あった。自分がここに、立つまでに関わってきた人たちと、生きる道があった。

自分が将軍を殺したいと思うようになったのは大切なものが出来たからで、その、大切なもの、大切なひとたちのお陰で自分ができたのに、あの時、その、彼らを選ばずにただ、自分の感情だけを選んだ。

「さっちゃんさん、銀兄さんのこと、よろしくお願いします」

は顔を上げて、銀時のことを心底愛して止まない彼女を眺めた。このひとはきっと、命を懸けて銀時を守る。命を懸けて、などスキではないが、彼女はしのびで、そういう手段でしか、知らないのだろうと、お庭番と携わってきた一族の、知っていた。だから、どうしようもないこと、とそれを、逆に、喜ばなくては、と、思う。

「よろしく、したいんだけどまだそういうわけにもいかないから、だから。アナタは消えちゃダメよ。滝山様」

もう誰も知らない、自分の最初の名前を言われて、長い前髪で顔を隠すように、俯いた。

「……懐かしい、ですね」

困ったように笑って、それで、銀時と繋いだほうとは反対の手で、さっちゃんの細長い指を自分の指先に絡めて手を繋いで、祈るように「わたしはまだ、死ぬわけにはいきません」と、呟いた。その言葉の思い事、重いこと。は目を伏せてゆっくり、息を吐いた。









「静かになったなー」
「そうですか」
「銀さんハラ減ったんだけどー」
「そうですか」

心ここにあらず、な様子の。銀時は心底、疲れたように溜息を吐いた。溜息、を吐くと幸せさんが全力で逃げるんじゃぁー、なんて言ったのはどこのバカだったか。

「で、いいの?お前」

勝手に台所に行ってタマゴやら小麦粉やらを失敬し、ボールにいろいろ混ぜながら、銀時は背後のに問いかけた。今回のことの、詳細は聞いている。松平やら、真選組やら、天導衆やら。誰に、といえば土方にである。山崎からと銀時が親しいことを報告受けているのだろう。今回のことは、知らないフリをしろとパフェとかいろんな甘そうなものと一緒に頼まれた。

(やっぱ食っとけばよかったか)

注文されたものの、誰の胃袋にも入らなかったあのデザートたちは、捨てられてどうなるのだろうかとか、そういうことを考えながら、銀時はシャカシャカとボールの中のペースト状になったものを掻き混ぜた。

「なぁ、。いいのか?お前、ジミーのこと気に入ってたんだろ」
「いいんです」
「そうか」

いいわけねぇだろう。ガヅン、と、ヘラを流しに叩きつけた。乱暴、な音にびくり、と反射的にが震えたので「あ、ゴメン」と頭をかく。

「あのさ、。おにーちゃん心配なワケよ。かわいいちゃんが落ち込んでたら、何かしてあげたいわけよ。万屋だよ?おにーちゃん。なんでもするって、マジで。だから、」
「似ていたんです」

銀時の言葉を遮って、、呟く。その、真っ黒い目は、やっぱりビー玉だ。

「は?」
「山崎さんは、似ていたんですよ。高杉さんに」

ひゅうっと、台所の小さな窓に風が通り過ぎて、鳴った。銀時は一瞬目を見開いて、そういえば再会してから、初めての口からあいつの名前を聞いたことを思い出し、そして、今まで、聞かなかったことに安心していた自分に、気付いた。

「似ていました。山崎さんは、高杉さんに、似ていた。におい、ではないのだけれど、何でしょうね。どこか、同じだと思えるところがあって、大好きだったんです」

机の上の湯のみを両手で持っているは、顔が見えない。うなだれている、その顔が笑っているのか、何なのか、銀時には見えなかったから、わからない。

「あの人は、わたしを守ることはできないと、最初から言っていた。でも、山崎さんは、わたしを守ると、言ってくれた。重ねていたんです。似ているから、代わりのように、して

似て、いるのだろうかと、の表情を探るかわりに、考えてみる。山崎、という真選組の男を実際銀時はよくは知らなかったけれど、まぁ、そのあだ名の通り地味だ。同じ真選組でも土方や沖田の持つ強烈な個性が山崎にはないように思えた。その、山崎がよりにもよって、過激派で知られる高杉に、似ているとは、どういうことだろう。

「……似てるって、どのへんが?」
「昔の銀兄さんとも似ていますよ」

白夜叉、と呼ばれた銀時をはあまり好きではなかったはずだ、と銀時はぼんやり思い出す。その名前が嫌いなだけで、その頃の銀時をどう思っていたのかはわからないが。
へぇ、と銀時はカップの中に、混ぜたタネを注いでいく。

あの頃、と、封印、はしていないけれど、つとめて、思い出さないようにしている昔。自分が白夜叉と別名を貰い恐れられていたのとは違い、には、これと言った二つ名はなかった。それは、普段の様子とあまりに違い、変わる戦場での銀時を恐れ、便り付けられたのとは反対に、普段も、戦場も、変わらなかったからなのだと、いつだったか桂に聞いたことがある。阿修羅、という名は終戦間際、たった一晩で三千人の天人を虐殺したことから後々、“平和”になってから呼ばれることになった名前だ。

「似ていました。だから、一緒にいると、とても楽しかった。からかうと、あの人といるようだった、楽しかったんです。でも、山崎さんは、高杉さんじゃありませんよね。だから、追いかけるのは、止めようと思ったんです」

重ねてしまっては、かわいそうだから、とは言う。酷いことを故意に言っている顔だと、銀時は眉を顰めた。

「バカか、お前」
「バカは坂本さんです」

そうじゃなくてネ、と銀時は、の腕を引っ張った。

「重ねてかわいそう、は、重ねたくない、ジミーを一人の人間として見れるようになったからだろうが」

それで、楽しいって思えていたんだろうが。言えば、はキョトン、とした顔になって、それで、俯く。

「人の家で本格クッキングしながら、説教とか、たれないでくださいよ」

あ、ごめん、と本気ではなく謝ってみれば、は「いえ」と小さく呟いて、首を振った。

「わたし、真選組に行ってきます」
「は?お前何言ってんの」

ダメだからねと、銀時、可愛らしく言ってみた。それでも可愛らしく「行きたいんです」なんて強張ってみたようだがやっぱりダメなものはダメで、どうしようかとあれこれ考えていると、久坂薬局に、土方がやってきた。

「あら、土方さん、いらっしゃい」
「追い返そうぜ、銀さん砂糖使ったけど塩手付かずだからいっぱいあるし」
「おい、コラ。今度はちゃんとノックしただろうが」

その言い分は確かにそうだ、とは頷く。今回はコンコンと控えめにノックした土方は襲撃者とかではなくて、客人として扱うことになって、銀時はじぃっと、壁に背をつけて立ったまま、土方を威嚇。はコポリコポリお茶を注いでゆっくり、土方に差し出した。一瞬その色を確認して銀時は眉を顰める。え、なんでソイツはちゃんと緑なの、的な眼差しにはにっこりと、緑色をしているお茶がマトモだなんて、そういうのは先入観です、と目で返す。

事実、一口茶を飲んだ土方がくらり、と倒れた。

「まぁ、大変。銀兄さん、どうしましょう」
「ほっとけば?」

そういうわけにもいきませんよ、と、張本人のくせにとても困った顔をして、どこから取り出したのかマヨネーズを土方の鼻に近づけてみる。

「……てめぇ、毒を盛るたぁ、いい度胸じゃねぇか」
「それで復活するお前もいい度胸だよ」

銀時の突っ込みなど誰も聞かない。

「で、結局。何がどうなんてたんだ」
「詳しい説明は山崎さんがしなかったんですか?」
「報告は受けたがな。いまいち、肝心なことがわからねぇ」
「……」
「お前は、何をしたんだ」

そういえば、土方は知らないで終わったのかとは、一夜にして山崎と近藤に自分の所業が知られた勢いで、すっかり失念していた。この男にも自分の過去の、将軍殺しが知られているのだと思い込んでいて、楽だったのだが。

「………言わねぇのか」
「え、何、沖串くんに言う必要あんの?」
「お前は人の名前を正しく言う必要あんだろ」

牽制の銀時の言葉も即座に突っ込んで土方、をじっと、睨みつける。けれどぼんやりと首傾けただけで何も答えない。
別段、口に出せないほど悔やんでいること、ではないのだけれど、真選組の、副長は、知らなくても問題のないこと、なんだろうと思うのだ、。たとえばほら、沖田のアイマスクの数とか、知らないでも人生やっていける。

今回の事件、いろんなことがあった。火付けやら、社僧隊の生き残り狩りだとか、本当に、たくさん酷いことがあって、土方はまだまだ後始末に追われる。はぼんやりと土方の隊服を見た。
蒼穹や他の社僧隊の人間は、この男の指揮のもとに死んでしまった、殺されてしまった、それを、自分は憎む心を持てていない。何も、憎悪など、芽生えていない。先ほどの茶にしても、無味無臭の死に至る毒を混ぜることが出来たはずだ。それで、蒼穹の仇を討てるはずだ。

けれど、しなかった。そういう、ことだ。自分にはもう、憎悪を抱けるだけの熱がない。あの頃に燃やした炎が強すぎて後はただ、段々と消えて行くだけなのだと、はひっそり息を吐いた。壁の銀時がビリビリと気を尖らせているのは一番には、を心配するのではなくて、が土方を殺して追われないか、どうか、だ。

「だが、忘れるなよ、阿修羅」

ことん、と、机に刀を置いて土方真っ直ぐに、を見つめる。その眼は真っ黒い。はビー玉のような目で向き合った。

「アンタが今は白だとしても、アンタが将来、黒にならない確証はどこにこねぇ。その時は、間違いなく俺が斬る」

ふわり、とは微笑む。「おやさしい」と、言えば土方ぎゅっと眉を顰める。ものだからは淡く笑みを浮かべたまま、土方と、天井を見て、首を傾ける。

「山崎さんに斬らせないんですね」
「アイツは不向きだ」

その通り、だろうかとぼんやりは考えて結局何も言わなかった。では、その時は、どうなるのか。自分が、自分ではなくなってしまったとき、酷いことを出来るようになってしまったときは、確かに、何も知らない土方がスッパリ切ってくれればいいと、そう、今は思えたからだ。








銀時が土方とにらみ合っている中、新しい茶を入れようと台所へ行ったが、廊下を通り過ぎた瞬間、その、通りかかった、中庭の、梅の木の下に、たたずんでいる、黒い髪の、黒服の、青年。

山崎さん、とは名を呼ばずに立ち止まって、ぺこり、と頭を下げた。

「あ、あの、さん」

びくり、震えて山崎、ぼんやり、のほうへ顔を向けて、それで、何度も、言いよどんで、しょうがなくが「山崎さん」と、名前を呼んでやっと掌に入れていた力を抜いた。

「あの、俺、今月一杯まで、休みなんです。潜入捜査が終わると、大体、二週間くらい休みがもらえるんです」

挨拶も何もない。本題だけを、きっちり、口にするのは冷静でもなんでもなくて、迷いこんだ結果だ。悩みに悩んだ結果だ。山崎はと随分と距離を開けたまま、口を開いて、息を吸い込んだ。この酸素も二酸化炭素も、お互いのものにはならない。

「お疲れ様です」

はふぅ、と息を吐いて、縁側に座り込んだ。その顔は薄っすら、青い。体調が万全ではなくて、気を張り詰めた土方の相手、そろそろ、疲れがたまっているらしい。山崎は自分の目線よりの目線が低くなったことになぜか安心して、ぎこちなく、言葉を続ける。

「それで、あの、さん。さえ、良ければなんですけど。休みが終わるまで、ここに、置いてもらえませんか」

それを言いたくて、なんとか、受け入れて欲しくて山崎、まだ報告書やら何やら事務処理が残っているのにここへ来た。土方がのところへ行くと耳に挟んで、心配だから、というのもあったけれど、本題は、それだった。

もう会えるようになれるとは、思わない。

はじぃっと、目を、丸くして山崎を見つめているその目が何を考えているのか山崎にはよくわからなかった。額に汗が滲んでくる。

「もう、だめですか。俺、確かに役に立ってなかったしな……」
「いえ、いいえ、そんなことは、ありません」

何やらネガティブ思考回路に突入しかけて庭の草なんてぶちぶ千切る仕草をし始めてしまった山崎を、の戸惑うような声が、留める。ぱたん、ぱたぱた、と、聞こえる足音は近付いてきて、山崎の目の前で止まる。顔を上げればが、走って少しだけ顔の赤くなったが、耳まで赤くして、山崎を見下ろしていた。

「従業員でなくても、潜入捜査でなくても、来てください。毎日、じゃなくてもいいです。時々でいいから、来て、ください、だって、あなたはわたしの」

わたしの、と、言葉に詰まったは山崎の肩に手を置いて、その先を言いよどんでいる。その次の言葉に何か、期待してしまって山崎、ぐぃっと、立ち上がってに抱きつこうとしたが、その前に、ニャーと、薬局の壁の向こうで、なんだか、黒い猫が鳴いたような気がして、一瞬動きが止まる。

さん…俺……!!」
「友人ですから、お茶を飲みに来て下さいね」

嬉しそうに笑う、の顔、声。でも、あれ、なんか、ぐさって、聞こえなかった?自分の心臓付近から。山崎はひゅうるり、ひゅるり自分の背後で風がなんか、通り過ぎた音を聞いてガックリ項垂れて、それでも、が山崎に手を伸ばしてくれて、それで。

「じゃあ、今は『帰りましょう』か、山崎さん」

なんて、そんなことを言ってくれたので山崎、その手を掴んで歩き出して、ゆっくりと、の冷たい、肉付きの薄い手が、じんわりと自分の手に触れてゆっくり、境がなくなるくらいに暖かくなってくるのを思って、顔を綻ばせた。

二人で仲良く客間に行くと、手を繋いだところを銀時と土方に目撃された山崎、銀時には「うわ、お前まじでうざいんだけど」とあからさまに睨まれて土方からは「休暇は明日からだろうがテメェなに浮かれてんだァ」とじくじく、甚振られた。



Fin