シンパシー

 

「ママみたい」

 

甘えた声とはいわぬまでも、どこか戸惑う幼子そのものの声で(事実彼はどう見ても幼子)ほぅっと溜息を吐くように柔らかな手つきでその頭を腹に押し付けてきた。きっと身長はさほど変わらない。ソファにくつろいだ姿勢のままにはトロロを抱きとめる。(泣いている声は聞こえないのに、オレンジの肩は小刻みに揺れていた)年齢からいえば確かにはこの新兵の倍以上を生きてきたけれど、仮にも「サララ」のコピーであるにしても、母性などというものは備わっていないはずである。だというに、普段口を開けば皮肉が生意気な言葉しか吐かぬ子供は心底にすがっている。「まま」「まま」「まま」と繰り返す。風邪でうなされたときならばこの強気な子供も不安ゆえに弱くなろうと理由がわかるけれど、現在彼の身体に異常などは見受けられない。場所も場所でガルル小隊訓練所休憩室という微妙な場所。ほかの隊員、タルルとゾルルは中で訓練中だろうし、ガルルは会議会議で留守だが公共の場であることに間違いない。

 

「だってカイサンしちゃったらの部屋には誰ァれも入れないジャン?」
「訪ねてきてくれれば入れてあげられるよ」
「でも監視カメラあるしィ」

 

ここもあると思うんだけど、とが首を傾げるとトロロが心底愉快げに笑った。

 

「ここのシステムならどうにでもなるからサ」

 

そしてまたぎゅぅっと抱きつく。確かにの「水の牢」にあるシステムを操作することはまだトロロには出来ないだろう。というかそういう問題ではない。は抱きつくオレンジの体をゆっくりと撫でてやってから、うん、と頷いた。

 

「ぼくはトロロくんのママにはなれないよ」
「そんなこと知ってルョ、プププゥ、バカじゃナイの?」

 

 



トロロって病んでるキャラだと思う。スランプー。

5/21/2006 12:53 AM