貴方を愛している

 

 



妹に彼氏が出来た。兄としては複雑な心境だったし、しかもその彼氏が自分の同級生だったから、最初はもう何がなんだかわからなくなった。ただ思ったのはその彼氏をどう始末してやろうかとか、そのために誰の知恵を借りようかとかそういったこと。有力候補はうちの参謀とか、実行犯は利用しやすい年齢不詳の副部長がいいかもしれない。五分ほどして冷静になってから「どこが好きになったの?」と問いかけると、妹は天使のように愛らしい笑顔で一言。
「一番似てたから」
髪型とか、喋り方とか、動きとか。嬉しそうに話す妹は、そういえば、最後に笑ったのはいつだったのかわからなくなるほど昔だったこをに気付く。今もちゃんと笑ってはくれるけど、でも、それはもう、昔本当に幸せだったときとは比べることのできないほどに、奇妙な笑顔だった。
どうして気づけなかったのだろうかと思って。きっと、本人も今の今まで、自分が壊れていたことに気づいていなかったからかもしれない。


は柳生のことを愛することはないと思う。もし付き合うことになっても、それは「ひよこと似てた」とかそういう理由。