手当たり次第あたりをひっくり返しひっちゃかめっちゃかにして、は乱暴に壁を殴った。どうしようもない苛立ちというのは無理に理性で押さえることなくこうして手ごろな物に当たってしまった方がいい。長生きしているとそういう諦めのようなものが出てくる。そういう持論では泥棒でも入ったのかと思うほど部屋の中を荒らし、物を蹴り倒していた。

「……っ、なんなの…!!!!」

どうせ外には聞こえぬからと大声を出す。外の音はこちらに聞こえても中の音はけして漏れぬ。腹立たしい!とは何度も何度もシャンクスを詰り、そして荒く息をついた。

コンコンコン、とそこへノックの音。

「……なに?」

一瞬ぎょっと体を強張らせる。ここは魔女の隠れ家で、入口なんてものは当然のようにない。の今いる場所にも扉はない。それなのに、振り返れば部屋の丁度いい位置にいかにもな「入口出口」が存在していた。

もしこの世界に己と同じく魔女というものが存在しているのならこうして己の部屋に入口を作り出すことは可能。だが長く生きていてもそういう同格の生き物に出会ったことはない。

は警戒し眉を顰めながら扉に近づく。

「どなた?」
「夜分遅くに失礼する。赤髪海賊団のベン・ベックマンだ」
「……」

さてどういうことだろうか。
扉の向こうには一人の気配のみ。これがシャンクスならまだ理解もできるが、あの男。どう見ても己を歓迎はしないだろう副船長殿のご訪問。

はどう扱うべきか思案し、そしてひょいっと腕を振って部屋を元通りの状況にしてから扉を開けた。

「女性の部屋を訪ねるにしては大胆な時間じゃないかな」
「部屋に入るつもりはない。少し話がしたいんだが構わないか」
「それについて答える前に一つ教えて。きみはどうしてこの入口を?」
「普通に歩いて探したらあったが?」

なぜそんなことを聞くのかとそういう顔をされてしまった。嘘をついている顔ではないし、それならにはわかる。

「歩いていた?普通に?」
「最初は見当たらなかったが、中にあんたがいるなら必ず入口はあるだろう」

それで探していたら見つかったと付け足す。

「そう」
「それがどうかしたのか」
「少し驚いただけ。立ち話はわたしの趣味ではないよ。部屋にお入り」

当人気付いていないのならそれはそれで構わない。は短く区切って、ベン・ベックマンを部屋の中へ招き入れた。夜分に男を部屋に入れるというのはやはり褒められた行為ではないものの、この入口が不安定、あるいは己と相性の悪いものであるとすれば長く存在させているべきではない。

ベンが部屋の中に入った途端扉は消えた。

は腕を振ってベンが腰掛けられそうなサイズの椅子を出し、自分はその向かいに腰かける。

「お酒は生憎出せない。お茶で構わないかな?」
「あぁ、すまない」
「いいえ。それで、わたしに話って?」
「大したことじゃないが、この島を呪っているのはあんたか?」

ティセットはすぐに用意できる。カップを差し出して問えば、ベン・ベックマンはすっと目を細めた。大海賊の副船長殿。なるほど自分の記憶にあるレイリーのポジションになる男だ。こちらもそもそも油断できる相手ではなかった。

「どうしてそう?」

一度カップの中の砂糖をしっかりとティスプーンでかき混ぜて、リリスは首を傾げる。奇妙なことを言ったと愉快がっていると、同じようになんでもない調子でベン・ベックマンは続ける。

「最初は海流あるいは天候がこの島の出入りを操作してるのかと思った。うちの航海士とも話したが、この島の「出られない」という状況は海や風が原因じゃない」
「では人に説明ができない力、たとえばそう、わたしの、魔女の仕業だと」
「いいや」

きっぱりと否定された。おや、とは眉を跳ねさせる。

この男、どういうつもりだ。世の不思議、納得理解の行かぬ出来事を魔女や悪魔の所為にする。それは人間の処世術のようなものとそうは考えている。それであるのにこの男は。

判じかねて思案し、はカップを置いた。

「なるほど、欲しいのは肯定ではなくて魔女の「否定」だね?この島を「呪って」いるのは不思議不思議の魔女ではないと」
「理解できぬ力が原因ではないのなら必ず、明らかになる「理由」が存在する。魔女の否定さえあれば俺はその「原因」を探り出せる」

なんのことはない。この男は超がつくほどのリアリストだ。

グランドラインは不思議なところ。摩訶不思議、奇妙奇怪奇行の横行。けれどそこには必ず「真実」「現実」が存在しており、不思議と思うのは知識のなさ、理解のなさゆえと、そう冷酷に判じることのできる男と、そういうわけだ。

それでも魔女が「不思議」の体現者であることは承知している。そこは否定せぬ礼儀正しさを持って、この男はその上で「この島にある「呪い」は事象か」とそう問うている。

「わたしの扱い方、シャンクスから聞いていたのかい?」
「いや。確かにうちの頭は酔っぱらうとあんたの話をするが、こういうことまでは聞いてない」

……酔っぱらって何を話しているのかとても気になるのだが、この男は口が堅そうだから言わぬだろう。

それにしても独自の解釈で「魔女の扱い方」を心得たのならこれほど賢い者はいない。は素直にベン・ベックマンを称賛した。

現実主義者でありながらこの男は今この場で己を「魔法というものを肯定する存在」であると理解を示し、そしてその「魔女」にこの島の「呪い」を否定させ現実に呼び戻す。

「答えは?」
「きれいにきっぱりはっきりと宣言してあげるよ。この島の「呪い」とされる「脱出不可能」はわたしや、あるいはわたしの管理関与する全ての力や呪いによって起きているものではない。海流の流れや風の動きによるものでもない。けれどきみは一人ではけしてその原因を解明はできない」

促されては答えた。
シャンクスが、その仲間らがどうなろうと構わぬと思い、そして先ほどのシャンクスの振る舞いでその心は一層深くなっていたけれど、この男のこの振る舞いは魔女の心に面白さを湧き上がらせた。

「俺一人?うちのクルー全員でかかれってことか」
「いいや違う。このわたしの協力がなければ判明はしないってことさ」
「………」

にんまりとは口の端を釣り上げてベンを見上げる。






+++





…!?お、お前…なんだってうちの船にいるんだ!!?」

翌朝、赤髪海賊団の船、甲板に野暮ったいショールでぐるぐる巻きになった魔女の姿が一つ。

一瞬見間違いか、それとも夢かとシャンクスは疑い、一回海にでも落ちてみればいいかと真剣に検討しているところ、がころころと「おはよう、シャンクス」と声をかけてきたもので、とりあえずシャンクスは今日は良い日になるに違いないと勝手に決めた。あれだ、記念日でも構わないとか、そういうことを思っていると、後ろからベンにどつかれた。

「俺が呼んだんだ。また暴走するなよ、お頭」
「ベン…お前が!?一体どうやって口説き落としたんだ!?」
「………口説いた覚えはない」
「とても新鮮な方法で熱心に言われてしまってはわたしもNoとは言えなくてね」
「ベン…!!!!」

昨日から確かには自分よりベンの方に頼っていたが、俺が酔いつぶれてる間に何が!!?シャンクスは真剣にベンを問い詰めようとしたが、その前にが分厚いショールをずるずると引きずりながらこちらに近づく。

「そんなことよりも、この海賊団が外に出る「お手伝い」をするとそうあの副船長に約束したんだ。出港準備をしっかりとおしよ」
「他に何をすりゃいい?」

どういうやりとりをしたのかかなり気になるが、しかしが「協力する」とそう言っているのだ。シャンクスは素早く真面目な顔になってを見下ろした。室外であるためすっぽりと頭や体が覆われている。明るい朝日の下でこうして彼女を再び見ることのできる幸福を噛み締めてばかりもいられないと自分に言い聞かせるのに必死だ。

「出港準備ができたら小舟を出して、わたしの言う通りに進んでもらう。同行者は2人だけだからきちんと選んでね。当たり前に死ぬからそれで構わない人間におしよ」

一瞬クルーたちの間にに対する拒否反応のようなものが出た。仲間を大事にするこの海賊団だ、のこの発言は認められるものではない。シャンクスはのこうした物言いに慣れているが、しかし己はこの海賊団の頭だ。

「簡単に死ぬようなやつは俺の船にはいないな。それに仲間は俺の家族だ。ないがしろにできる命なんてものはない」

船長としてはっきりと言わねばならぬことだった。びりっと覇気を含ませて言えばが目を細める。

「それならわたしが指名しようか。きみと、そこの副船長」
「……ベンは俺がいない間に海賊団の指揮を執る。この島から脱出するなら、」
「そう。簡単に死ぬような輩がいないのなら、副船長が不在で沈むような海賊団ではないのでしょう」

青い瞳に霜が降りる。こちらの言い方に腹を立てたわけではない。だがシャンクスは己と、そしてが昔と同じように向かい合えるのは船の中ではありえないとそう突きつけられた気がした。

「わかった。ベン、来てくれ」
「そのつもりだった。ルゥ、ヤソップ、あとは頼んだぞ」

軽く手を上げてベンがこちらに近づいてくる。ヤソップらが「今生の別れじゃあるまいし」と軽口をたたく。誰ひとり己らの危機を思ってはいない。そういう頼もしい連中だ。シャンクスは魔女の悪意にこの海賊団を沈ませてはならぬと、それが船長としての振る舞いであると自覚し、そしてに手を伸ばした。

「それじゃあ案内してくれ」
「片腕でわたしをエスコートするのは無謀だね。一人で歩けるよ」

その一言に今度は古参の連中までもが口汚く魔女を罵ったが、やはりシャンクスは苦笑する以外できることはなかった。






+++






「嫌われるのが好きなのか」

シャンクスが船員たちを宥めている真っ最中、先にボートに降りたはベン・ベックマンがらそう切り出され鼻を鳴らした。

「わたしを好意的に解釈してくれるとは思わなかったよ」
「わざと言ってるように聞こえたからな」

本当にこの男は油断ならない。は目を細め、今頃甲板で散々仲間たちに詰め寄られているだろうシャンクスを気の毒に思う。

「そういえば君はさっきのわたしの一言に怒りはしなかったね。自分の船長が片腕であると言われるのは不快じゃないの?」
「片腕なのは事実だ。それにうちの頭はそれに誇りを持ってる。ならどうこう言うのは俺の流儀じゃない」

誇り。なるほどシャンクスほどの男、ただの事故何かで腕を失ったわけはないと思っていたが、なんぞ理由がありそうな。はこのままでいればベンからそれを聞き出せるかとほんの一瞬考えるが、しかし口の堅そうな男と思うた自分の判断を疑わぬ。

「この島の「呪い」とやらを解いた後、シャンクスがあんたを船に乗せられないようにしてるのかと思ったな」
「状況的に終わった後、わたしは一度君たちと船に行かなければならないからね」

そのまま残らせるなんて選択肢を抱かぬのなら楽だと考える心は確かにあった。

はベンを見上げ懐かしい物を見るかのような、そんな錯覚に襲われる。そうだ、この男はどこか、やはりレイリーに似ている。こちらがどれほど取り繕おうとあっさりと理解してしまう様な。そういえばレイリーも現実主義者だったか。思い出し、それならシャンクスには似合いの副船長だと思う。

「悪いな、待たせた。って何見つめ合ってんだお前ら!!!」

そうして僅かの時間見上げ見下ろされていると、船からドン、とシャンクスが落下してきた。一度小舟は起きく揺れるもののシャンクスが上手く着地したおかげでひっくり返るほどではない。

「見つめ合ってなどいないよ。魔女と目を合わせるなんて愚行をする男ではないだろう?」

副船長以外の仲間がいなくなった途端この態度。は、なるほどどれほどベンという男はシャンクスにとって深いところにいるのかと理解する一方、なやここにベン・ベックマンを同行させるのではなく、シャンクスが頭の顔をしていなければならぬ人間にすればよかったと悔やみもした。

「それで、次はどうするんだ?」

額を抑えているとシャンクスがこちらの顔を覗き込んでくる。その間際にこちらの瞳をしっかりと覗き込んでくるものだから、負けず嫌いなのだとは呆れた。

「この先にある洞窟、海からしか行けないところがあってね、そこに進んでもらう。きみは漕げないし、わたしがそんなことをする必要はないんだから、副船長殿、快適に進んでおくれよ?」
「だ、そうだ。頼むぞベン!!」
「……了解、船長」

何か言いたそうな顔を一瞬ベンがするが、そんなのもシャンクスも構うわけがない。それにしてもシャンクス、こちらが「役立たず」に近い表現をしたというのに欠片も気にせぬのか。先ほどやや怒って見せたのも船長であり、仲間がいるからに他ならぬのだろう。

ゆっくりと船が動き出した。はパン、と手のひらを合わせてからふよふよと金色の蛾を出す。

「蝶か?」
「蛾だよ。触れると毒だからお気を付け。副船長殿、その蛾に従って進んでおくれ」

魔女には仕える昆虫がいるがが扱うのは蛾である。蝶々や蜥蜴、蝙蝠なら聊か趣もあろうが当人の資質にあったものになると言われては納得せざるえない。

蛾はふらふらと、しかししっかりとある一点を目指して飛んでいく。

副船長殿の漕ぎ方は意外に丁寧で速度も速い。は船酔いをするタイプなのでこれなら安心だと頷きつつ、目の前に座るシャンクスに首を傾げた。

「何か聞きたそうな顔をしているね」
「どういう風の吹き回しだと思ってな」
「君の所の副船長殿に面白い扱いを受けたから、と言っても君は納得しないんだろうね」

シャンクスの後ろにはベンがいるが、はいるものとは扱わずに話をする。

「そもそも、なんだってあんたはこの島にいた?」
「それを、そもそも最初にわたしに聞くべきだった。違うかい」

こうして「案内」すると決めた以上は隠し立てをするつもりはない。小舟から海を覗き込み、手を伸ばす。海水に触れようとした途端、ぐいっと、シャンクスに腕を掴まれた。

「……海水は、」
「海水はわたしの身には酸のよう。覚えていてくれてありがとう」
「……はぐらかしたいのか?」
「いいや、答えるつもりだよ」

しかし、さてどこから話したものかとも思う。は赤髪海賊団の船からこちらが覗き込めぬ位置にあるというのを確認してから、頭を覆っていたショールを取った。

「………、」
「そいつは火傷か?」

は普段から厚着厚着であるけれどそれは布をぐるぐると巻きつけているだけであり、その下に来ているのは薄いワンピース一枚だった。そうしてショールや何やらを外せば、露わになった顔や首元、それに肩口。

そこにあるのは体の半分を覆う重度の温熱熱傷(火傷)である。これで大分ましになったとはいえ、人の体というのは70度の温度の熱を当てられれば一秒で組織の破壊が始まる。が押し当てられた熱はそれ以上だった。

「ベン!今すぐ引き返せ!手当を……!!」

驚き目を見開いたシャンクスが我に返って叫ぶと同時にベンが片方の櫂だけ動かして反転しようとする。はそれを遮った。

「昨日今日のものでもないし、わたしもできる限りの処置をした。命に別状はないと宣言できるよ」

そういう反応を予想していなかったわけではないが、本題ではない。は見苦しく醜い火傷の後をショールで再び隠した。

「少し前に、この島に来る前、オハラ、とそう呼ばれた島でだったかな。そこに行ったんだ。酷い殺戮のあった場所でね。そこに貴重な樹がいたから看取りにいこうとしたのがまずかった」

思い出す、あの夜のこと。はふと空を見上げたら雲が真っ赤に真っ赤に染まっていた。真昼であるというのに凄惨な気配がし、一体なんだとその方向にデッキブラシを向けた。

あとで知った話によれば、そこは世界政府、海軍本部の攻撃バスターコールを受けた島だという。その現場を見たわけではないが、中々多くの命が亡くなった。それは別にどうでもいいのだけれど、その際に多くの本や知識が死んだ。そのことばかりはにとっても惜しむべきことで、さらには全知の樹という貴重なものまで巻き添えを食らってしまったというのだ。それなら己は追悼に行かねばならぬと、そう思って、その、燃え尽きたオハラの跡地に、夜中にひっそりこっそりと降り立った。

「オハラ…オハラの悪魔の事件か」
「そういえば数年前にあったな。生き残った学者がいたとか…」
「そう。それは知らなかった。けれど、その跡地にわたしは行って、そこで海兵に遭遇してね」

ぶるり、とは体を震わせる。寒さのためだ、潮風が身に染みたのだと己に言い聞かせ、は二人から顔をそむけ水面に視線を飛ばす。

出会った。あの時、あの場所で。あの時に。

「あっという間のことだった。わたしはその海兵に体を焼かれてしまってね」
「大将赤犬だろうな、その海兵は。当時は中将だっただろうが」

ベンが補足するがは名前など知らぬ。知ろうとも思わなかったが、しかし、その時に見たあの男の瞳だけは忘れるつもりはなかった。

あの時あの男は、己を魔女と理解していた。その上で、「なぜ生きている」「何故存在している」「死ね」「今すぐ殺されろ」とそういう強く、強く、激しい感情を持って己を殴り、殺意を持って挑んできた。

「大将サカズキか…オハラのバスターコールに参加していたと聞いたことはあるが…アンタが巻き込まれたとは…知らなかった」

火傷の具合を確かめようとするようにシャンクスがこちらに手を伸ばしてきた。それを振り払う理由もない。はそのまま受け入れて、シャンクスの手によって再度ショールを落とされる。

「……海水に炎はアンタを殺す。数年前の怪我が今でもこうってことは、当時はもっと酷かったんじゃねぇのか」

どうだっただろうか。はそれは詳しく覚えてはいない。何しろ半死半生、いや、8割がた死にかけてやっとあの海兵の船から逃げ出し(この己が!)この島にたどり着いた。はじめの3年は目を開けることもできずただ黙って体が癒えるのを待っていた。己の体が腐り爛れていくのではないかと恐怖もあった、その最中は一時たりともあの海兵の目を忘れはしなかった。この自分にここまでの屈辱と恐怖を与えた男。

しかし今の問題には関係ない。

ゆっくりとシャンクスの指が火傷に触れる。痛ましいものを見る目に、は続けようとしていた言葉を一瞬忘れてしまう。

(……なんで君がそんな顔するかな)

聞いてみたい気もするが、聞けばきっと苛立つ回答が返ってくる。それであるからはついっと体を引いて、再びショールで覆った。

「とにかく、そういうわけでわたしはこの島で治療に専念してた。そうしたら、面白いことをみつけてしまってね」

ようやく本題だ。この島の「呪い」とういうのがなんなのか。ベン・ベックマンは相変わらず飛んでいく蛾を追いつつこちらに注目し、火傷を労わる素振りを見せながらシャンクスもこちらに顔を向けた。

「この島って信仰が生きてるんだよね」

短く言い切り、そうしてはやっと見えてきた洞窟、その崖の上にある青銅像を指さした。




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