乱れたシーツの上に顔を埋めながらは耳まで真っ赤にして唸った。シャワー室での第一ラウンドからベッドに移動したのは夜更け。そして現在午前三時を回ったところ。心身ともにくたくたとなりながら、それでもコトン、と寝てしまわないのはひとえに羞恥心があまりに強く燃え上がっているからである。
「っ!!!もう、絶対、絶対あんなことしないんだからね!!!!」
「二度目があるっちゅうなら歓迎しちゃるけぇの」
恥ずかしさで涙声になって叫べば、サカズキが完全上目線でのたまう。それにはさらに顔を赤くしてサカズキから隠れるようにシーツを被った。
「バカ!!バカ!サカズキのバカ…!!あんなことさせるなんて何考えてるのさ!!」
「わしゃ何も言うちょらんじゃろ。おどれがテメェで、」
「うぅっ…ぼくもうお嫁にいけないよ!!!」
「わしの嫁になるっちゅうんが確定しちょる分際で何を心配しちょるんじゃァ」
「してないから!確定してないから!!!」
言いながらは先ほどまで自分がしたことを生々しく思い出してしまった。そして本当、穴があったら入りたいと思う。というか、なんであんなことをしてしまったのか。サカズキの言葉通り、別段何か要求されたわけではない、ただ、なんというかこう…スイッチが入ってしまったというか、なんというか。
基本的に、は性行為が好きだ。気持ちがいいことをするのは面白いし楽しいし好きだ。その上サカズキとするのなら嬉しい。と、その前提はいいとして、問題は相手がサカズキだと、我に返ったとき只管「ぼくはなんて破廉恥なことを…!!!」と恥ずかしくなってしまう点である。
一言で言えばはサカズキに溺れる。熱に浮かされる。それがこう、の分別やら理性を剥ぎ取って、欲に忠実に振舞わせる。そして今回は「サカズキが先にイったらぼくの勝ち」という必死さもあったからか、それはもう……あんなことやこんなことをしてしまった。
「勝ったっちゅうんに不機嫌そうじゃのう。もっと喜べ」
シーツに顔を押し付けてすねるの背をついっと指でなぞりながら、サカズキは眼を細める。
結果から言えば、今回の勝負はサカズキの負けである。
いやはやこの自分が、と男のプライド的にはサカズキとて苛立たないわけでもないが、たまにはあぁいうことをするに先にイかされるのも悪くない、と変態極まりない自己完結をしている。どちらかといえばサカズキはSでの泣いた顔を見るだけで興奮できるし、その白い肌に歯を突きたてて食い破りたい衝動に駆られるものだが、しかし、時にはいとけない顔をしたが淫らにこちらを翻弄しようと上位に立つ、というのも面白い。(誰かこの男を通報してやれ)
条件は海兵の訓練への参加を認めることだが、を抱きながらサカズキは頭の隅で認めるほかないとも判っていた。何しろサカズキも頭のあがらぬおつる中将が関わっているのである。を説き伏せ、モモンガ中将に過度のストレスを与えたところで、最終的なところはどうしようもないだろう。それであるなら、こちらが折れることになる。ついでにいい思いもしておこうと、そういう、本当にこの男は変態であるとレッテルを貼れる思考回路。
サカズキはいつまでもの顔を見れぬことに苛立って、聊か乱暴にシーツを剥ぎ取ると小さな体を引き寄せる。
「やっ、ちょ、」
「夜明けまでそうない。もうせんわい、安心せェ」
「ん。とかいいつつお尻触ってるのは何で!!?」
「気にするな」
向かい合うように膝に乗せれば丁度いい位置にの尻がくるわけで、それを掴んで揉まない理由がわからぬ、とサカズキは開き直っている。もう片方の手は後頭部を押さえ指に髪を絡ませる。燃えるような赤毛は汗や精液でべとついているがそれでも掴めばしゅるり、と流れる。サカズキはそのまま口付けようかと背を丸めるが、が顔を逸らした。
「……仕置かれてェのか」
「ち、違うよ…!!ぼ、ぼく、口ゆすいでないから…その…サカズキの…飲んだまんまだし…」
最初果てたのはサカズキだったが、それでこうプチッと切れたサカズキがその後、結構強引に口取りをさせた。(ちなみに最終的に二人は二桁は行っている)飲み干すまで頭を押さえつけたが、その時のことを言っているらしい。別にあれから二時間以上経っている上に飲み干したのだからまさか口内に精液が残っているわけでもあるまい。その妙な気遣いというか羞恥心にサカズキは喉の奥で引っかいたような笑い声を立てて、の首に噛み付いた。
「んつ!!」
「それを言うたらわしとておどれの、」
「ストップ!!!!言わないで!!!本当やめて!!」
ぐいっとがサカズキの身体を押しのけて制止をかける。ふん、と鼻を鳴らしてサカズキは一応身体を離した。
「とにかく風呂に入ってもう寝ろ。訓練への参加は認めちゃるけェ、これから忙しゅうなるじゃろ」
全く持って気に入らないが、これからは正式に海軍本部に籍を置くことになるのだ。おつる中将のこと、目をつけた海兵は徹底的に仕上げる。しかし出来上がってもの性格を考えればサカズキが手をまわして傍におけはしないだろう。
全く忌々しい。
顔に出せばまた面倒なことになるとわかっているサカズキ、ただ胸中で呟いて、サカズキはの髪に指を通した。
とりあえず、の周りにいる青年らは脅しておくべきだろうか。(大人気ない)
++++
「青い空…真っ白い雲…天気も最高…!!なのになんで室内でお勉強…!!!ぼくはピニクニックとかしたいのに…!!!」
「帰れ」
「いやぁ、気持ちはわかるけどなー。あ、ニコラス、この問い6って答えわかるか?」
叫ぶ、冷静に切り捨てて勉強に集中するニコラス、にこにこと相槌を打ちながらちゃっかりカンニングじみたことをしようとするエヴァンの三人はあてがわれた一室で今日の訓練、というのを行っていた。
訓練といっても身体を動かすものではない。今現在は暗号文章の基礎知識を試す小テストだ。三人一組になってテーブルに着き、それぞれが独自に解読するもよし、相談しあって解くもよし、というもの。
リノハは足首を捻っているので室内で済むものは丁度いいといえば丁度いい。
しかし個人主義というかなんと言うか、なニコラスによりこの班は各自が自力で解くことになっている。昨日道場での大将ご登場事件によりたちは「大将の威圧に耐えた」という妙なグループになった。ちなみに医務室に運ばれた他の候補生たちも回復しているのだが、いろいろビビったのか昨日バタバタと候補生辞退を申し出て結局残ったのはたちを含め6人だという。
「自分で解かなければ意味がない。そのくらいわかれ、エヴァン」
「いや、だってどう考えてもただの□マーク連続で規則性もないヤツどう解読しろって?」
どうやらエヴァンはこういった頭を使う作業はあまり好きではないらしい。すぐに集中力が途切れて外を眺めたり鉛筆を転がしたりと、そのたびニコラスに睨まれている。は問題を解き終わっているので、エヴァンはどこがわからないのかとひょいっと答案を覗き込んだ。
「違うよエヴァンくんー、これは予め2-6-6-3で塗りつぶしていって海軍の暗号コード第13番に合わせるんだよー」
「って、13番ってなんだっけ…?」
「そのくらい自分で思い出せ!!貴様も一々教えてやるんじゃない!!こいつのためにならないだろ!」
えっとね、と答えようとするの頭をスパン、と引っぱたきニコラスは席を立って二人を睨みつける。びしっと指を指しているあたり、本気でお説教モードに入ろうとしているようだ。とエヴァンは一応「はぁい」と反省しているように見せようと椅子の上で正座をした。じゃないと長いのだ。
「大体オマエたちはな…!!!」
「ちょっと、静かにしろよ。さっきっから迷惑だって気付けないのか?」
さてこれからニコラスのお説教タイムだ、と二人が覚悟しかけたところに、冷ややかな声がかかった。
別グループの班長だ。(ちなみにたちの班の班長はニコラスである)ブラウンの髪にミルク色の肌、という明らかにこちらも貴族のお坊ちゃん、だろう。はひょいっと身を乗り上げて少し離れたテーブルにいるその三人組を眺める。
ブラウンの髪の班長さん。丸いめがねにそばかすの、聊か神経質な印象を受ける。ひ弱そうな学者タイプで、昨日の道場では見かけなかった。名前は確か、マーカー・ブラウン。マーカー卿の子息だろうとは見当付けた。ブラウンの髪がそのまま名前というのが判りやすい。
「すまなかった。この俺としたことが感情的になってしまったようだ。謝罪する」
一瞬ニコラスとブラウンの間に妙な緊張感があったように思えたが、言い方はさておきどちらに非があるのかをニコラスは冷静に判断している。腰を折りはしないものの言葉での謝罪をした。は昨日自分を庇ってくれたニコラスの様子を思い出す。少々短気で自信過剰だが、ニコラスは紳士なのだ。自分が悪いと思えば素直に謝るし、仲間の危機には自らを省みず飛び込む。うん、とはテーブルの下で手を握ったり開いたりした。こういう人と仲間になれて何だかこそばゆい。そして別にニコラスだけが謝らなければならないというのもおかしい、は立ち上がらないままにしろ、ブラウンたちのいる方へ顔を向けて、ペコリと頭を下げた。
「ぼくも、ごめんね。あんまりいいお天気だからうかれてしまったよ」
「君の頭は常に浮かれているんじゃないか?君」
にこりと笑って頭を下げたの顔が引き攣った。
「いい機会だから言っておくけど、ぼくは君みたいなレベルの低い人間と一緒にはいたくないんだ。ニコラス君のように有能な人間のおこぼれを狙う気が見え見えで吐き気がする」
あれ?今自分暴言吐かれた?とは笑顔のまま停止して言われた言葉を反芻してしまう。その隣ではエヴァンが「へぇ、喧嘩売ってんの」と低い声で呟く。ニコラスといえば、こちらはおおっぴらに不快を露にはせぬものの、眉を潜めて相応しくない発言を咎めている。
「マーカー・ブラウン。は謝罪しただろう。素直に受け入れるのが礼儀じゃないのか」
エヴァンとが何か言い出す前に、と班長としての義務感もあるのかニコラスがテーブルから離れ、ブラウンたちのほうへ一歩近づく。
「は俺の友人だ。侮辱する言葉は許さないぞ」
ニコラスのはっきりした言葉にブラウンが眉を跳ねさせた。そして何か口を開こうとしているので、はそこではっとして、なんでもないようにぽつり、と一言。
「あれ?でも昨日ニコラスもぼくに似たようなこと言ったよねー。鬱陶しい、とか、うざいとかー」
「え、何ニコラス!?おまえそんなひどいこと言ったの!!?最低!!」
「そなんだよ…そのうえぼくひっぱたかれて…うぅ…まだあの時の痛みが…!」
「ニコラスの鬼!!!こんな可愛い顔ぶつなんておまえは悪魔か!!」
しおらしく「うぅ…」と泣きまねをしながら頬を押える。何かこう雰囲気を出したかったので椅子から降りて床の上でそれっぽい体勢になれば、エヴァンが協力してくれた。題して、何か面倒くさくなる前にギャグにしてしまおう作戦である。ぐっと、とエヴァンは目が合ってお互い「面倒なのはいやだ!」と意思が合う。何となくこちらに付き合ってもらっている感はあるが、は素直に感謝した。
そして鬼・悪魔呼ばわりされニコラスの顔が真っ赤になる。
「ちょっと待て!!その件についてはお互い納得しただろ!!」
「したけどぼくの心は痛かった……」
「あぁ…!!!そうだよな…ココロノキズってそう簡単に治らないんだよな…!!!」
いや、エヴァンくんそれ妙に実感篭ってて笑えない。は若干顔を引き攣らせた。昨日聞いたエヴァンの生家のスキャンダルを思い出しはどう反応しようか一瞬迷ってしまった。
「お前たち何を騒いでいる。席に着け」
しかし丁度言いタイミングで本日の監修を任されたホーン軍曹が入ってきた。どうやらそこそこの地位がある海兵だと魔女の存在を知っているため色々遠慮やらトラウマがあって役に立たぬ、とおつるが判断したらしい。今後このクラスは大佐以下の海兵が受け持つことになるのだろう。それでも別にレベルが下がるという心配もおつるの采配であればあろうはずもない。
厳しい顔をした上官の登場に一同は姿勢を正し皆沈黙してそれぞれの席に着く。暗号解読の小テストの時間が過ぎた、ということだろう。はエヴァンの答案をちらり、と横目で盗み見た。騒ぎが起きてから書き込んでいる様子はなかったが…見事に、名前だけ書かれている。問い6だけじゃなかったのか、とは顔を引き攣らせる。
「答案を回収する。各班の班長がまとめてこちらへ持ってきてくれ」
ホーン軍曹は騒動を若い海兵たちにありがちな軽い諍いと判断したのか特に咎めるわけでもない。ニコラスがとエヴァンの答案を受け取り、前へ向かった。途中ブラウンと遭遇し、ニコラスはブラウンをにらみつけたが、ブラウンのほうはニコラスには敵対心はないらしい。それよりも、ニコラスが背を向けた途端、ブラウンの濃いブラウンの目(髪も目もブラウンだ)がを睨む。
(ぼくか何したっけ?)
人に嫌われる理由は多すぎるという自覚もあるが、こんな若い子に恨まれる覚えはない、はずだ。はきょとん、と首をかしげしかし、まぁ、だからといって何かされることもないだろうと気に留めなかった。
「それでは先日の試験を返却する。名を呼ばれたら取りに来い」
答案用紙を受け取り、ホーンはファイルケースに丁寧に入れてから別のケースを取り出す。先日、そういえばまだニコラスにちょっかいかけられる数日前に実力テストのようなものをやったことを思い出す。
ちなみに、自分の点数はわかっている。一問足りとも間違えていないのなら満点だ。というかそもそも、ペーパーテストで間違えるなどありえない。別に頭がいいとかそういう話ではなくて無駄に長生きしているのだ。間違える方がどうかしている。
名を呼ばれ自分の答案を受け取って、は点数を確認した。
「満点はお前とニコラスだけだった。よくやったな」
ホーン軍曹にそう褒められ、はにこりと笑い頭を下げる。「ありがとうございます」と上官に対しての言葉遣いは改めるようにしているが、もう少しこう、軍人っぽくする方がいいだろうか。そんなことを考えながら席に戻ろうとして、すっ転んだ。
++++
「ふ、ふふふ、ふふふ、絶対泣かす…!!!何あの陰険ないじめ!!!」
本日のオムライスには「ブラウン」と描き、上からスプーンでぐっちゃぐちゃにかき回す。、これが何だか新しいストレス解消法になりそうだ。全く持って不健康だが、まぁ当人がスッキリ〜☆という顔をしているのでいいのだろう。
お昼休憩中の海軍本部一般食堂。たち候補生のお昼休みは通常の海兵たちとは少しずらしてある。それであるからゆっくり寛げるのだが、が騒ぐためニコラスたちは食堂の隅に座ることにしていた。
「足引っ掛けて転ばすなんて…今時ないっしょ、何、なんかしたのか?」
席に戻るとき、はブラウンによって足をひっかけられ転んだ。それはもう盛大に顔面から。受身も取れないのかとニコラスは呆れたが、立ち上がる時は手を貸してくれた。だからツンデレじゃないかとエヴァンとは思うのだが、やはりツンデレ当人はその自覚がないのが通常らしい。
エヴァンは本日はカレーセットを頼んだ。福神漬けに口をつけながらを眺める。エヴァンの記憶にあるマーカー・ブラウンといえば気弱でひ弱な根性なしで、いつも物陰に突っ立っていた。部屋に閉じこもって本ばかり読んでいるから目が悪くなるのだと母親が嘆いていたのを覚えている。頭は良かったがいわゆるガリ勉タイプだ。エヴァンから見て、ニコラスのような天才とは違うと判断している。
それがこの候補生に選ばれていて、さらに、先ほどからに突っかかってきている。あの気の弱いブラウンが、これは何か理由があるのではないかと思って問うが、は首を傾げた。
「覚えないんだよねぇ。だってぼく、あの子と口利いたのさっきが始めてだし」
「何か理由があるのなら正々堂々と訴えるべきだ。あのような陰湿な行為は軍人としての自尊心に欠ける」
記憶を探りやはり心当たりがないらしいが答えると、隣のニコラスが憤慨した様子で口を挟んできた。騒いでいるところを注意された、というのはニコラスの中で消化したが、その後のブラウンのに対する言動に憤りを覚えているのだ。
ニコラスとて当初はが気に入らなかったが、はなりに、考えていることがあり、そのために大将にさえはむかったと、そうニコラスは認めている。その自分が認めたがブラウンのような小物に悪く言われるのが気に入らない。
「おーい、っ、久しぶりじゃん。何してんの」
三者三様で考え込んでいると、間延びした声がかかる。明るい少女、のように聴こえる声に三人が顔を挙げ、エヴァンは笑い、ニコラスは眉を寄せ、そしては手を叩いた。
「マリアちゃん」
「マリア言うな…!!!」
ひょっこりと三人のテーブルに近づいてきたのは真っ白いフリルのきいたエプロン姿のウェイトレス。というか、萌え系メイド。海軍本部一般食堂コックである。かつてと共にこの食堂でメイド姿を披露して評判を呼んだ少年。メイド服が似合いすぎている、立派な男の子。(バレンタイン話参照)
名前はあるのだが源氏名のマリアが浸透しすぎて、今ではセンゴク元帥ですら彼を「食堂のマリア君」と呼ぶ。(それを聞いた瞬間マリアは本気で泣いた)そのマリア、かつて本部にいたドレークに淡い恋心を抱いたりとかそういう展開があったりもした。まぁそれはさておいて、銀のお盆を持ったそのメイド服のマリアさん、仕事もひと段落がついた頃に、懐かしい顔を見つけて近づいてきたようだ。
海兵の格好をしたを上から下まで眺めて首を傾げる。
「お前今度は何のコスプレしてんの?」
「コスプレ違うよ!?ぼく海兵になったんだってば!!」
「嘘付け。お前が海兵とかあの過保護な大将が許すわけねぇじゃん」
マリアは勝手知ったる己の食堂とばかりにたちの向かいに腰掛け、一蹴する。脳裏にかつて一緒にバイトしていた頃のと大将赤犬を思い出した。
「お前が仕事終わるまで只管回りの海兵睨み飛ばしてお前に話しかけられねぇようしてたあの大将赤犬が、男所帯に放り込むなんて何の冗談だよ」
の顔が引き攣る。そんなことしてたのかサカズキ。
「うん、っていうかね、マリアちゃん、ニコラスとエヴァンはぼくとサカズキがどういう関係かって知らないまんまだったんだけど、何か普通に誤解しそうな発言したね」
色々突っ込みたいところはあるが、とりあえずは今現在の問題を口に出してみた。今のマリアの発言をニコラスとエヴァンが受け取るとしたら、あれだ。
自分はサカズキに嫉妬される立場である、ということだ。それはまぁ間違ってないが、一つ確認したい。
ニコラスもエヴァンも、のことを男だと思っているのだが。
「誤解って何だ?だってお前ら恋人同士だろ」
マリアのあっさりとした発言に、ニコラスとエヴァンがピシッと硬直した。
とりあえずはセルフサービスの水を飲みながら、サカズキのホモ疑惑とか本当これ不名誉だけど当人知ったらどうするんだろうかと、そんなことをぼんやり考えた。
Fin
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