センゴクの執務室の通信機器がけたたましく鳴ったのは、窓の外に雷でも落ちたかのような轟音の後だった。書類から顔を上げ、センゴクは通信を取るべきか、それとも窓の外に飛び出して原因を把握するべきかとほんの僅かに巡回し、そしてその意図を読み取ったか控えた秘書が変わりに通信を受ける。センゴクの執務室の通信機器は直通ということでほとんどセンゴクが出るものだが、長年仕えているだけあってこういう采配が絶妙だった。感謝するように目配せをして、センゴクは窓の外に飛び出した。

マグマと、魔女の悪意によって半壊した棟が目に入る。そしてその付近に悪意によって引き裂かれただろう重症を負った海兵二人が見える。センゴクは顔を顰めた。理由はわからないが状況は把握できた。何の間違いかわからぬが、悪意の魔女が海兵を害し、そして大将赤犬が魔女に制裁を与えているらしかった。






結局こうなるんだったらなんで手を出したのか






の手首をマグマで溶かし、その両足を切断し終えて、やっとサカズキは詰めていた息を吐いた。足元はの血溜りとなり、ぴしゃん、と血が軍靴によって跳ねる。荒く息を吐き、サカズキは肩で息をする。これほど本気で能力を使うことなど滅多にない。戦争時の「戦う」という心構えがあればさほどでもなかったが、のどかな昼下がり、魔女の突然の暴走である。サカズキといえども聊か乱された。乱暴に汗を拭い、何に対してかわからぬが「クソッタレ」と毒づく。

(我武者羅に滅茶苦茶に力を振るうなど捕らえてから一度も見たことはない)

冬薔薇の戒めによって能力が封じられているというのに、サカズキは自分の命を持っていかれるかもしれないと、そう覚悟したほどだ。現在、見下ろしたに意識はない。四肢を落とされ身動き取れぬ状況。大量の出血で、やっとは止まった。細い首には鋭い棘の茨が巻きつけられ、冬薔薇が容赦なく身を苛んでいる。苦しげに眉を寄せているのは身体の痛み、というだけではないのだろう。

ゆっくりとサカズキはその小さな体を抱き上げる。これほどの力を要しているというのに、身体は棒切れのようだ。その細く軽いからだを抱くたびにサカズキは不快な気持ちになる。

「ふー…終わり?もう大丈夫?」
「クザン、いたのか」
「あのね。さっきからずーっといたから。お前やちゃんの攻撃が回りに飛ばないように防いでたの俺だから」

壁からひょいっと顔を出したクザンに、サカズキは何も言わず背を向ける。相変わらず飄々とした様子。こちらがどれほど苦労したのかわからんのか、と怒鳴りつけてやりたかったが、八つ当たりだと自覚しているので押し留める。クザンの気配に本気で気付いていなかったというわけではないが、に意識を集中させねばならなかったゆえ、しっかりと把握はしていなかった。近づきながらクザンがこちらの腕の中のを眺め、眼を細めた。

「達磨みたいだね」
「何が言いたい」
「別に。お前はいつだって正しいさ」

クザンはそのぼんやりとした目でを見下ろす。大将と本気で殺し合いこの程度で済んでいるのはサカズキが殺さぬよう加減をしたからだろう。切り落とした傷口は即座に焼いて止血されている。ぽりぽり、と頭をかいてクザンはあたりを見渡した。あちこちにの身体の破片がちらばっている。腰を折ってひょいっとの右手を拾ってから、クザンはその生ぬるさに身震いした。つい先ほどまではの身体についていて動いていたものがこうもあっさり切断されている。傷口を見れば白い骨や神経、筋肉が見えた。の腕というだけあって小さく細く、色も白く美しい腕である。毎日丁寧に手入れされた指先には漆のように艶やかな黒のマニキュアが塗られている。その爪化粧はが自分でやっているらしいが塗っているところをクザンは見たことがない。

その指先をじぃっと見つめ、これほど近くで堂々との肌を触れることなど滅多にないと気付く。切断されているもののクザンはその小さな指を己の無骨な指で一本一本掴みながら、妙に興奮を覚えた。能力を使って本気の防衛をしたゆえに気が高ぶっているのか。この血なまぐさい場所に立ちながらクザンはこのの腕をベッドに置いたら楽しいだろうとそんなことを一瞬考える。

「これ貰っていい?とか言ったら怒るよな、やっぱ」
「ド阿呆」

殴るわけでもなくサカズキがすぅっと眼を細めて一蹴にした。用途まで見透かされたわけではないだろうが、クザンはその途端我に返って、肩を竦める。

「冗談だって」

2割くらいが冗談であとは本気だったと自分の中で確認しながら、クザンは周囲を見渡した。騒動がひと段落したということで遠巻きに様子を窺っていた海兵たちがバラバラと建物から現れる。海軍本部“奥”であればこれほど騒ぎにもならなかったろうが、生憎ここは新兵らの利用することの多い“表”に位置する場所だ。海軍本部大将が直々に鎮圧した騒動が一体何なのか興味津々、という顔の面々にクザンは今後のことを考えて面倒くさくなった。そして、事の発端、の逆鱗に触れただろう、二人の海兵に視線を向ける。二人は蒼白になりながらガタガタと体を震わせていた。騒動を聞きつけ奥から駆けつけた中将らがそれぞれ瞬時に担当を決め動き出す。素早く指示を出して周囲を封鎖しているのはドーベルマンだ。が本気で暴れたのなら詩篇を扱った可能性もあると素早く対策が取られていた。本来であればサカズキかクザンが直々に指示せねばならぬことだったが今は海兵らへの対処よりも優先すべきことがある。

クザンはサカズキの腕に抱かれたを見下ろす。意識を失いぐったりとしている顔は見慣れているがここまでズタボロになっているのは随分と久しぶりだ。ドレークがお守り役についてからはそうそうサカズキが暴力を振るうこともなくなっていたというのに。

大量に血を失い、そのうえ四肢のないを眺めながら、クザンは自分の心にちっともを案じる心がないことに気付いていた。というよりも、これまでもクザンはがサカズキに傷つけられている様子を見ても「酷い」と思ったことがない。そのことを考えて、つくづく自分が嫌になった。

「で、どうすんの?」
「部屋に閉じ込めて暫くは出さん」
「それだけ?海兵に手出ししたってのに」
「これが半狂乱になって泣いた。気まぐれで海兵に傷を負わせたっちゅうんなら咎められるべきはこれの方じゃが、今回ばかりは違う」
「あの二人の海兵がちゃんの猫殺しちゃったんだもんね」
「見とったんか」

咎めるようなサカズキの視線に、クザンは通りかかっただけだ、と素直に返した。丁度クザンは仕事をサボって“奥”から離れ、この当たりを歩いていた。そこで見慣れた声が聞こえて「あ、ちゃんじゃん」と広場の方へ顔を向けた途端、今回のことが起きたのだ。

見た状況から判断するに、魔女の存在を知り「安全」とされる奥からひょっこりこんなところまで出てきてしまったが、あまりガラも性格も宜しくない新兵二人と遭遇し、一緒にいた子猫を奪われたのだろう。そして、が奪い返すその前に、新兵らが何かしらをして、猫を殺めてしまったと、そういう話だ。あっさりしている。

そしてその途端、が二人の新兵に悪意をぶつけたと、そういう結果。ありきたりすぎて、面白みもない。

がただの一般人、偶然迷い込んできた子供ということなら、その民間人の猫を害したということで二人の新兵は上官に叱責され、除籍させられるという結果で済んだかもしれない。だがしかし、二人にとって不幸なことに、今回の相手は悪意の魔女たるだ。

知らなかった。偶然。などいう事実は「世界の敵」とその取り決めの中には何の意味もない。

追放された魔女は何者からも憎まれる義務を持ちながら、誰にも害されぬ権利を持っている。確か、そんな神話がなかったか、と時々クザンは思い出そうとするのだ。確か、そうだ、どこかの兄弟の話だ。楽園を追われた兄が殺されることを恐れた、すると神はその兄を殺すものには七倍の復讐があると、そう刻印を刻んだ。そういう話がなかったか。

魔女の、その身体、心に一切の傷を与えることは許されない。





+++





魔女の部屋。様々な玩具が散乱してひっきりなしのその状況。くるぶしまでありそうな毛の長い絨毯を軍靴で踏み進み、サカズキは天蓋を除けて、その寝台にを横たわらせた。そして自分で切断した四肢を繋ぎやすいように付け根に置く。つい数分前まで容赦なく、一切の手加減もなくを殴り飛ばしていた男にしてはその手つきは優しすぎるものだったが、当人にその自覚はまだない。

通常であれば医務室に運ぶべきだ。だがにその処置の意味はない。サカズキは寝台の傍にある自分用の椅子を引き足を組んで座り込む。意識のないはただぐったりと沈黙し瞼を伏せている。のこういう顔を見るたびにサカズキは妙な渇きを覚えた。悪魔の飢餓ではない。それならば同時に魔女への愛しさを募らせるらしい。体感したことはこれまで一度もなかった。今サカズキを襲うのは、強烈な渇きだ。に触れれば収まるかというわけでもない。余計に、胸がかきむしられるような、ある種の不快感さえある。

振り払うようにサカズキは首を振り、唇を噛んだ。正体不明の、この妙な飢えは何だ。それを考え答えを突き詰めるのはそう難しいことでもないような予感がする。しかし、その答えを探し当てたその果てにあるものは、サカズキには容認できぬもののようだという、その確信もあった。それで、サカズキは蓋をする。そして、じっと、の顔を眺めた。

この数日、は子猫の世話をよくしていた。自分のことすら面倒くさがって手間をかけぬ魔女が小さな死にかけた子猫のために日中夜つきっきりだった。サカズキも協力させられた。が何か頼むなど珍しいことだった。叶えてやりたい訳ではなかったが、やるならやれ、とは思った。それで協力してここ数日間サカズキはの部屋に泊まっていた。なぜこの己が魔女の寝所なんど使わねばならぬのかと不満もあるが、小さなその子猫を案じ自分の体温を恥じるの顔というのは珍しかった。

(その子猫、昨日やっと、外に出られるようになった。長く降っていた雨も止み、あれが随分と機嫌良さそうに子猫と共に出て行った)

子猫のための餌やブラシをバスケットに入れて、鼻歌でも歌いだしかねない勢いで、今にもスキップしそうなほどで、その様子をサカズキは執務室から眺め見送った。いずれ自分よりも先に死ぬものをが受け入れたこと事態奇跡だった。いつか死ぬと覚悟し、諦めている、という前提があるとはいえ、あそこまで受け入れたなど過去に例がない。子猫の回復を何よりも喜ぶその姿、サカズキは見送って、そして、数十分後、繋がった薔薇の刻印からの激しい怒りを感じ取った。

サカズキは、ヒルデと名づけられた子猫の小さな鳴き声を思い出す。真っ白い猫だった。小さく、か細く頼りなかった。自分やが何かしなければすぐに死んでしまうだろう弱い命だった。それでもの必死さが伝わったのか、子猫は死なずに生きていた。サカズキが撫でれば子猫はごろごろと喉を鳴らす。優しさなんぞ見せていないのに子猫はよりもサカズキに懐いた。それには「ずるい」と素直に不平を漏らしていた。おかげでサカズキのスーツには払っても払っても子猫の真っ白い毛がついた。とセットでサカズキの執務室にやってきた。まだ長距離を歩かせたくないというの過保護さから常に抱きかかえられていた。真っ白いワンピースを着たと真っ白い子猫が、ここ数日サカズキの執務室を揃って訪れ、ソファの上でごろごろと揃って喉を鳴らしていた。それを眺めながらサカズキは羽ペンを動かす、というのが日課になっていた。

(それであるのに)

サカズキは脳内で二人の新兵をどう処罰するかを考える。当然二人は生かしておくことはできない。不運だった、とは思う。を出歩かせたのはサカズキの失態である。サカズキ自身も何らかの責任を取ることになるだろう。それはわかっていた。

「……ぼくも結構、若いよね」
「気付いたか」
「うん」

ぽつり、と小さな声にサカズキはゆっくりと息を吐く。真っ白い瞼を持ち上げて、の青い目がじぃっとサカズキを見つめた。ぼんやりと夜の海のようにおぼろげな瞳だ。せめて涙でも流せば鬱陶しく思えてそれで終いだったろうに、そうはせぬ。サカズキは苛立ち、聊か乱暴にの前髪を掴み顔を上げさせる。

「今すぐわしに殺されたいか」




+++



部屋の中から聴こえた言葉にクザンは思わずぎょっとしてしまった。すかさずサカズキに声をかけようとした言葉を喉の奥に押し込み、気付かれぬよう一歩下がる。といっても魔女の部屋にいるものが外の人間の気配を感じることはほとんどないのだとそういう話をから聞いていたから、あまり熱心にせずとも構わなかったかもしれない。
部屋の前に立ち、クザンはサカズキが出てきたらへの見舞いにと渡そうと思っていたリンゴ(兎の形に剥いた)の乗った皿を床に置く。去るわけではなく、中の会話を聞くために掌を壁に押し付けた。

クザンは魔女の部屋に入室することができない。クザンだけではなくて基本的に魔女の部屋へ入室できるのはと同じ(というのは正確ではないらしいが)魔女だけだという。サカズキが例外であるのは言わずもがな。サカズキだけが魔女の部屋の主に拒絶されていないという事実、もうクザンは正直お前らさっさと結婚しちまえ、と思う。

生憎室内の様子を見ることは出来ないが、クザンは先ほど聴こえたサカズキの声を思い出す。そういう声を出すサカズキに、クザンはいつも鏡を突きつけてやりたくなるのだ。どんな顔でどんな声で言っているのか、お前わかってんのかと、そう言ってやりたい。

部屋からは何の声もしない。は普段サカズキが何か言えばすぐに答える。しかし、今その言葉に対しての回答がなかった。

サカズキはどう答えて欲しいのか、とクザンはそのことを考える。とサカズキ、二人の間にあるのは、クザンからすればじれったい感情だ。自覚していない。二人とも、お互いがお互いを必要とし合っていることなど明白だ。それなのになぜ二人とも気付かないのか。いや、違う。クザンや、それにドレーク、ドフラミンゴから見ればお互いの「個」が必要だとわかるのに、双方が双方に求めているのは「個」ではなく「立場」であり、それぞれ互いがそうであるとも自覚している。

(んな面倒くさいことじゃないでしょ)

いつもいつも、クザンは思う。が魔女であるから、世界の敵であるからサカズキは傍に置く。サカズキが容赦を知らぬ海兵であるからは傍にいる。お互いにとってそれが事実だった。

だが、違うだろう。本当は、違うだろうと、そうクザンは、思うのだ。

「今すぐ?ふふ、それじゃァ約束が違うだろう。大将赤犬、きみがぼくを殺してくれるのは、君が死ぬその間際だよ。君は自分の人生の終幕をぼくにくれると言ったじゃァないか」

クザンが思わず立ち止まったほどの響きのあったサカズキの声を、言葉を聞いて沈黙していた。しかしすぐに、は普段どおりの、いや、それ以上のよそよそしさを見せ付ける。先ほどのサカズキの問いには、当人に気付かぬ憐憫があった。が愛猫を失った。いずれ自分よりも先に死ぬとわかっていて覚悟をして引き取ったらしいが、それでもあの死別はなかろうと、クザンでさえ思う。(正直な話をすればクザンは例の海兵二人の処罰をが直々にするべきだと考えている。インペルダウンの拷問よりも酷いことをするだろう魔女の報復を受けさせてやれば、きっとクザンは例の海兵二人を「気の毒に!」と思うことができるだろう)その死別ゆえの悲しみがの目にはどう宿っているのか、それはクザンにはわからないが、サカズキがあんな声を出したほどだ。

「この程度でこのぼくが嘆くとでも思ったのかい?きみのような男も同情できるのならそれはぼくより罪の軽い罪人にしておやり」

時折、サカズキは揺れる。いや、その絶対的正義に迷いはない。容赦もない。だが、ほんの時折、に対して歩み寄ろうとするような、そんな瞬間が、僅かにある。だがそういうそぶりをサカズキが僅かでも見せた途端、の瞳が凍りつく。さめざめと冷え切って、ぴしゃり、と一蹴にする。その魔女の言動でサカズキは瞬時に「大将」に戻り、再びへ容赦ない責めの言葉を口にするのだ。当人同士に自覚があるかどうかは知らないが、クザンから見ればそのように写る。一見自然にサカズキがS役でがM役のようであるが、その、妙なやりとりを考えれば、二人の言動は「了承済みのSMプレイ」になるのではないかと、そんなことを思う。

ガッ、と部屋の中から何かが倒れる音がした。ガタン、ガタ、と巻き添えになっただろう何かが倒れる。恐らく、いや、確実にサカズキがを殴り飛ばしたのだろう。クザンはため息を吐いて、止めるべきかどうか考えた。しかしの「了承済みのSMプレイ」に首を突っ込むだけヤボではないのか。クザンはドレークのように自分がを守れる、などという勘違いはしていなかった。たとえどんな状況、どんな場所にいたところで、誰の保護下にあったところでは結局は自分の足で立ち、自分の身を自分で守っている。つまるところ、サカズキがを殴っている、というのは翻訳すればがサカズキに殴られたい時に他ならない。

「だれが貴様のような生き物に同情などするか。政府の定めとはいえ、貴様の勝手な振る舞いで海兵が二人命を失うこととなる。貴様に関わり命を落とす、世に害だけを撒き散らすおどれに、誰が同情などするものか」
「あんな海兵二人が死のうとぼくには関係ないし」

だからそういうSMプレイは他所でやれ、とクザンは声に出さずぼやき、あ、自分が立ち聞きしてなきゃいいのかとノリ突っ込みをしてしまった。

そしてコツコツとこちらに誰かがやってくる気配を感じる。どうせドレークだろうと思えばまさにその通りでクザンは頭をかき、振り返ってドレークがこちらにたどり着く前に手を上げてそれを制止した。そして何か言う前に「しー」と口元に手を当ててドレークに近づく。

「今ちゃん寝てんのよ。起こさないで帰ろうと思って」
「大将赤犬も一緒だと聞いておりますが、」
「サカズキだってたまにはの寝顔みて癒されたっていいでしょ」

言ってみればドレークが妙な顔をした。頷くべきかそれとも否定するべきか、どちらも不敬に違いないと迷っているのが面白い。クザンはにやにやと笑って、ドレークの首に腕を回す。そしてずるずると廊下を引きずった。

「ま、できればおれもちゃんのお見舞いしたいけどさ、とりあえず例の猫の死体ってどうなったの?」
「っは。一ヶ月前に埋葬した兄弟たちの隣に埋めました」
「悪いねぇ」

もともとに子猫を押し付けたのはドレークだと聞く。だから当然だろうともクザンは思った。それにやサカズキに死体を埋葬する、という概念があるのかと考えると中々怖い。たぶんサカズキは燃やすだろうし、は死んでしまった身体に興味はないと捨て置きそうだ。(いや、でも当初子猫たちを埋葬する目的で拾ってきたというのだから、そういう習慣は知っているのだろうが)

「そういやァ、センゴクさんが呼んでたんだよなァ…。ドレーク、ちょっと付き合ってよ」

サカズキが暫く魔女の監視で身動きが取れぬ以上、二人の海兵の処遇を決めるのはクザンとセンゴク元帥になる。センゴクは今回の騒動を見ているはずだが、どう判断するのだろうかとそのことを考えながら、クザンはドレークを引きずって元帥の執務室へ向かった。


 

 

 

Fin

 

 


文才が欲しい

(2010/06/04 17:50)