迎春?帰れ春!!!









にこにこと機嫌の良いの前には不機嫌そうな海軍本部大将殿。普段顔を顰めているサカズキになんぞ近づきたくはないだったが、真夜中のトカゲの珍事によって現在体は小さくなっている。そのおかげで、サカズキの薔薇の戒めも消えており、いうなれば元の力が十分に使える状態であった。

体は小さいから、サカズキに押し倒されて足を開かされることもないし、最悪サカズキを蹴って逃げることもできる、とその安心感がを大胆にしているのだ。ありがとうトカゲ!これで年始はベッドで寝込むことなく迎えられる!!!と、本当、普段の性活(誤字ではない)辛いんだよね!!!と内心叫びつつ、は手に持ったものをサカズキに差し出した。

「ぼくね、毎年毎年、どうしてサカズキは着物着ないのかなぁって残念だったの」
「いつ何時何があるかわからんじゃろう。わしは大将の服を脱ぐ気はない」
「ぼくが脱がせてあげるよ?」
「手を出せん貴様にされたところで嬉しくともなんともないわ」

言い切った、うわ、と、流石のもイラっときたがここで諦めるつもりはない。普通に考えて、絶対サカズキは和服が似合う。

いつも思っていたのだ。確かにサカズキは背も高いし体格もいいので何を着たって似合うに決まっている。普段の濃い赤系のスーツ姿も見惚れて時間が経つのも忘れるくらいだが(阿呆の子)和服、特に着流しの着物が本当に似合うだろう。

今日この日のために態々は、自分の刺繍の腕を使ってセンゴクと取引をし、先日海賊によって台無しにされた500年前の礼拝服の復元を条件に行くばかりかのお金も手に入れ、自分の足で布地を選び、糸やらなにやら特選して着物を一着仕立てたのだ。当然、サカズキの体に合わせるのだから随分と苦労もした。ばれないように自分の部屋でだけ作業したため、間に合わないのではないかという不安もあったけれど、無事に完成してよかった、との機嫌はかなりいい。サカズキの心無い一言も流せるほどである。

「絶対、サカズキは着物が似合うよ」
「だからどうした」
「ぼくは見たいの。一生懸命作ったんだよ」
「ここ一ヶ月こそこそしちょるとは思っとったが、そんなくだらんことを企んどったんか」
「ぼくは毎年サカズキが着ろって言う着物を着てるよ。一回くらい、サカズキだってぼくのお願い聞いてくれたっていいよね」

今年はぼくは強気で行きたい!!と朝日に向かって叫んだ、サカズキの眉間に皺がよっても怯まない。だって押し倒されないし!!とその一点があるというのがなんとも悲しいが、それはまぁ、考えない方向で行きたい。

はにっこりとサカズキを見上げて着物を持ち上げたまま首を傾げた。

「サカズキが着物着てくれたら、Siiと、クザンくんでも誘って羽根突きしようよ。できればサカズキたちは海楼石つけてね」

お正月、ガープのところは「お年玉じゃぁ!」と、派手なお祝いをしているのをも知っているが、顔を出したことはなかった。しかし、まぁ、サカズキにはかつての上司にも当たるので挨拶くらいは行くだろう。その時に同行して、そこにいるだろうSiiと遊ぼうと、そんなことを考えていた。

「断る」
「どうして」
「言うたじゃろう。わしは海兵としての服を脱ぐ気はない。それ以前に、このわしが魔女の用意した物なんぞに袖を通せるわけもかなろう」

怖気が走る、とさえ言われ、ひくっと、さすがに、は今の発言は聞き流せなかった。いや、確かに、そう言ってしまえばそうなのだけれど、それは、なんというかこう、イラっと、こう、勘に触った。自分はただ、サカズキの着物姿が見たかっただけだ。それなのに、どうしてそこまで言うのか。わがままなど、普段絶対にサカズキには言わない。お正月だから、そういう格好をしたっていいじゃないかと、提案しているだけといえば、それだけだ。それなのに。

「……わかった」

はぐっと、着物を胸に抱きしめて強く手を握り、サカズキを睨み付ける。

「じゃあこれ燃やせばいいよ」
「そこまで言っちょらんじゃろうが」
「ぼくなんかが作ったのは迷惑だしごみなんだよね。わかった。もう頼まないし、お願いしない」
「貴様、何を怒っちょる」

ずいっと、サカズキがの顎を掴んだ。普段より差があるが、それでもサカズキにとっては小さいことに変わりはない。怪訝そうに目を細めるその顔を強く睨みは口を尖らせる。

「怒ったらだめなの?わかんない、ぼく、わがままはもう言ってないよね」

珍しいの反抗である。普段なら生意気なことを言えば即座に蹴り飛ばされるが、今のならサカズキの暴力はあまり意味がない。それをわかっている海軍本部大将、無駄なことはせぬらしい。眉間に皺を寄せ、サカズキはぐいっと、乱暴にの前髪ごと額を鷲づかみにした。

「気に入らんのぅ」
「それはこっちのセリフ」

は痛そうに顔を顰めながらも、怯むことなく言い返す。サカズキはそれはもう、機嫌の悪そうに目を細め、口の端を吊り上げた。

「このわしに、生意気なことを言ってどうなるか、どうされるかわかって歯向かっちょるんなら豪気なことじゃが、貴様のド阿呆な頭では感情に駆られてのことじゃなァ」
「んっ、ん…!!?」

もごっと、は口に親指を突っ込まれて呼吸を詰まらせた。息苦しくなってサカズキの腕を叩くが、力が使えても腕力は純粋に7歳児程度のものである。弱々しく叩かれるだけで、それをサカズキは面白そうに眺めた。

「わしは、その体では入れるのは不可能じゃと思うだけで、何もできないとは思うちょらんぞ?」
「ん、あ…ん、は…さ、最低……!!!」
「なんとでも言え。小憎たらしいことを言うその分だけ貴様が酷い目にあうだけじゃァ」

いつのまにか体を壁に押し付けられて、逃げられぬよう、持ち上げられている。足が宙に浮き、両足の間にサカズキの太ももが入れられた。今は着物姿のため、両足を開けば、そのまま下腹部が晒されることとなる。着物の時は下着はつけない、というのがの常識。よくせつ生肌に布地が当たる。は普段より太い指が口内を動くのを感じ、ぞくりと身を捩た。

完全に油断していたが、このドS亭主、基本的に「ならなんでも構わん」と言い切る男だ。の体が男になったってまったく怯まなかった過去(別名:あ、トカゲさんの茶目っ気☆事件)を持つ。最初こそ、普段よりも幼いにいろいろストップをかけていたらしいが、この数時間、見慣れたらしい。そして何より、小さいからといって躊躇うようならまず、普段のにだって手を出しはしないだろう。

サァアアア、とは血の気が引いた。力が使えるからなんだというのか、小さいからどうした、そもそもそんなこと、サカズキにはまるで、関係がないことではないか。

(に、逃げないと犯られる!!!)

ちょっと普段より強気になってみました☆でもやっぱりサカズキは怖いです☆と、年始早々の心は完全に折られた。それはもう、ぼきっ、と。おそらくこの調子でこのドS亭主はWJ沿いのフラグも叩き折りまくっているのだけれど、それはまぁ、今は関係ないことである。

普段のときだって、体は随分つらい。いや、確かに気持ちがいいのは確実なのだが、なんというか、サカズキとの体格差と体力の差を考えれば、普段なにがどう『辛い』のかわかるだろう。はせめて回数だけでも半分にしれくれれば!!といつも思うが怖くて口に出せない。

今、手を出されたらどうなるのか、考えるだけで恐ろしい。

サカズキはの口から指を引き抜くと、そのまま口付けてきた。乱暴に口内を犯すことを目的とした一方的な口付けは息苦しく、どんどんとはその胸を叩く。

「や、ん、やぁ、サ、カズキ…だめ、むり…!!!」
「それはわしが判断する。、わしは両手が塞がっちょるけ、自分で帯を解け」

この人本気です。

完全に、有無を言わさぬ低い声。はこのまま黙ってヤられるか、それとも後で酷いお仕置きをされる覚悟で、とりあえず今は逃げるか、必死に脳内天秤にかけた。

結論。
どのみちヤられる。

「サ、サカズキが……!!!!これ、き、着てくれたら…協力する!!」
「ほぅ、このわしに交換条件なんぞ突きつけられる立場か、貴様」
「サカズキはいっつも…!!!ベッドの中のお願いなら聞いてくれるって言ってるじゃない!!!」

どんな躾してんだお前、と、クザンかトカゲでもいたら突っ込んだ。ももう少しサカズキに対して疑心があれば突っ込めただろう。しかし、あ、ぼくひらめいた!という程度でしかない。今年も阿呆の子である。

サカズキはのその提案に面白そうに目を細め、一度すとん、とを床に下ろす。

「着て出歩く気はないが?」

きっぱりと言いはしたものの、先ほどよりは拒絶のない言葉には顔を輝かせる。どのみち、サカズキとは今年もこういうことをする関係なのだから、ある意味諦めはあるといえばある。その上で、サカズキが自分の提案を呑んでくれることがうれしいし、そして、念願のサカズキの着物姿が見られる、ということで、は素直に喜んだ。

「そ、それでもいいよ…!ぼく、サカズキに着て欲しいだけだもの!!」
「そうか」

一生懸命に言うを見下ろし、サカズキは考えるように口元に手をやった後、しゅるり、と、の着物の飾り帯を抜き取り、口元を吊り上げる。

一瞬、はいやな予感がした。

「サ、サカズキ?」
「なんじゃァ」
「…それ、何に使うの?」
「知りたいか」

なんでそんなに楽しそうなんですか、とは怖くて聞けない。そして用途も、できれば聞きたくなかった。躊躇うをよそに、サカズキはをひょいっと抱き上げソファに座らせると、そのまま飾り帯の布を広げての目を覆うように頭の後ろで縛った。

「え、ちょ!!!?」

突然暗くなる視界にが声を上げる。サカズキはその唇を指で押さえ、ゆっくりと頬を撫でた。

「貴様の望みどおり着てはやる。しかし見せる気はない」
「そ、そんなのずるいよ!!!」
「一寸前にわしに着て欲しいだけと言うたのはこの口じゃろうに」

屁理屈だ…!!完全に嫌がらせだ…!!!
は口をぱくぱくと動かしたものの、あまりのことに言葉も出ない。普通、着て欲しいということは見たいということだと、思うのではないか。それなのに揚げ足をとるなど…!!!

「貴様はそれよりも自分の身を案じたらどうじゃァ」
「?どういう…」
「貴様の小生意気な言葉でわしは随分、苛立っちょるけ、何をするかわからんのぅ」

機嫌が悪いというわりには随分と楽しそうに言われ、見えぬ分はどこまでが本心か良くわかってしまった。改めて自分の状況を思い出し、サァアアと血の気が引く。悲鳴を上げようとした口、その途端サカズキが手袋を突っ込み、ゆっくりとの内股を撫でた。

「姫はじめ、この体の時なら処女じゃろう。せいぜい楽しませてもらうけ、貴様も楽しめ」

今年一年、サカズキさんはやっぱりド変態ということです。








チュンチュン、と窓の外ですずめの鳴き声がする。いつの間にか朝になっていたよう。は目元を覆っていた布が手首を縛るようになったあたりから完全に意識はブッ飛んでいたのだが、朝のすがすがしい光を受けてゆっくりと瞼を持ち上げ、驚きに目を見開き、そしてぱちり、と瞬きをした。

「……ず、ずるい」
「なんじゃァ、起きたか。

の声に、ベッドから起きて身支度をしていたサカズキが振り返る。明け方まで散々求め合っていたというのにけろっとしているところが憎らしいが、の言葉はそれに対してのものではなかった。

下腹部の熱はまだ収まらないものの、慣れているといえば慣れている。小さな体でよくもまぁ、と後半自身驚いたが、人間、やればなんとかできるらしい。人体ってすごいよね!!とその一言でそれについては片付けることにした。疲労感の残る体をゆっくりと起こして、は眉を寄せ、サカズキを睨む。

「何を膨れた面しちょる」
「ずるいよ。サカズキは、ずるい」

は縛られたままの腕で器用にシーツをかき集め、膝の上まで引いて隠した。言葉は怒っているものの、実際そんなことは欠片もない。サカズキとてそれはわかっているのだろう。は何度も「ずるい」と口の中でつぶやいて、サカズキから視線を外し、ぎゅっと、膝を抱えた。

「……サカズキは、かっこよすぎる」

眼科いけよ、とトカゲは即座に突っ込むが、ここにはいない。

すごく惜しいが、まぁ、の目には整った顔の美しいロブ・ルッチや渋めのおじ様系シャンクスなどよりもサカズキが世界で一番格好いい、と映るのだから仕方ない。本当に眼科へ行けばいい。

ぎゅっと、悔しそうにしながら、はもう一度サカズキを見上げる。

情事の最中も着ていた着物、皺一つない状態で纏っているサカズキが朝日のまぶしい室内、の目の前にいた。が仕立てたのは臙脂の濃い色の布地に漆色の糸で薔薇の淵を刺繍した着流しである。帯は漆黒、縁取りは朱での、全体的には地味目と移るが、目の肥えた人間には贅を尽くした粋な品であるとすぐにわかるもの。つくりはシンプルだが纏うものの気質を選ぶというそれをサカズキは見事に着こなしていた。少し大きめにこしらえたはずの肩幅は測ったようにぴったりで、無駄な肉のついていない腹回りの少し下、腰骨の辺りをしっかりと帯が閉めている。厚い胸板ははんなりと露出されていて、危うい色気のようなものさえ出している。

「ずるいよ、絶対着ないって言ったのに、見せてくれないって言ったのに…!!!そんなに格好よかったらぼく、さっきまでされてたことも、させられたことも、全部、怒る気がなくなっちゃうよ…!!」
「貴様は今年もド阿呆じゃのう。もう一度襲われたいとしか思えん」

もっともな意見です。

小さな顔を真っ赤にして、上目遣いに言ってくるその様子は、どう考えてももう一回食ってくれ、としか見えない。サカズキは目を細めてさてどうしてやるかと考えはしたものの、珍しく踏みとどまったらしい。夕べ脱がせて床に落ちたままにしていた襦袢を拾い上げ、の方へ投げつける。

「わっ、」
「支度しろ。着替えたら外へ出かける」
「?どこに行くの?」
「毎年海軍で恒例になっちょる、無礼講羽根突き大会じゃ。毎年わしは挨拶だけで済ませちょったが、今年は参加しようと思うちょる」

おや、とは首をかしげた。その行事は知っている。もう階級などお構いなしに、海兵らがトーナメントで羽子板の腕を競い合う、というものだ。優勝者は金一封と、大将から直接手ほどきを受けることができる、という得点つきで中将以下の海兵らは毎年必死になっていると聞いている。もっとも、少将や中将が参加する時点で一般兵の優勝する確立はかなり低くなるのだけれど。

そういえば、政府の役人も参加することが出来るらしい。

「サカズキも出るの?」

ボルサリーノが毎年出ている、という話は聞いていた。サカズキは最初の挨拶だけでさっさと引き上げるのが常で、は毎年自室でみかんでも食べながらサカズキが戻るのを待っている。

ちなみに大将は海楼石の手錠をつけるのが条件となっており、片目も布で覆う。一般兵への配慮というより、そこまでしないと流れ弾で建物が壊されるからである。

「今年の優勝商品を知っちょるか」
「?賞金と、大将が訓練するっていうのじゃないの?」
「それに追加で、海軍本部内にいる人間であれば誰でも、食事に誘う権利が出来た」
「サカズキ、誰かとご飯に行きたいの?」

なぜそんな商品をつけたのかには疑問極まりないが、さらに、それが理由でサカズキが出る、というのがいっそうわからぬ。サカズキは大将だ。誰か直接話をしたい海兵がいるのなら誘えばいい。大将と話を出来るのなら誰だって喜んで受けるだろう。

(……ひょっとしてサカズキ、従属の女の人で好きな人が!!?)

今まで散々アレな行為をしていたはずのは、なぜかそんな阿呆な結論に達した。

「阿呆。わしがそんな面倒なことをするか」

面倒、というのは食事に行く行為か、それともその権利取得のために大会に出ることか、どちらとも取れる言葉だったが、否定されはほんの少しほっとした。

「でも、じゃあどうして?」
「わからんか」
「ぜんぜん」

かなりうぬぼれな答えとしては、自分と食事に行きたいから?というのも出てくるには出てくるが、基本的には普段からサカズキとしか食事をしない。まず自分たちの関係では必要のないものだ。だからこれはない、と即座に切り捨てる。

「海軍本部内にいる者であれば誰でも誘うことが出来るっちゅうことじゃァ。貴様を誘う権利、と解釈も出来る。もし、万に一つでも、ロブ・ルッチが勝てばどうなる」
「サカズキ、ルッチくんへの嫌がらせ目的!!!?」

どんだけ嫌いなんだ、とは顔を引きつらせた。いや、それよりも、ルッチが自分を誘うかどうかだってわからぬだろうに、なんだその、熱意。

というか、今ルッチたちはガレーラへ潜入中なのだから来ることはできないのではないかというの当然の突っ込みは、サカズキの投げて寄越した数枚の書類で回答された。

は受け取りぱらぱらと、参加者名簿を見て、うわぁお、と声を上げる。

「……みんな、年始から結構、暇人?」

羽子板勝負だよね?新年明けましておめでとうって、お祝いの行事だよね?とは何度も自分に問いかける。びっちり記された参加者の名前。その中に、どう見ても、その、見知った名前をいくつか見つけ、はがっくりと肩を落とした。

海軍の行事に、海列車や造船のことで何かと関係のあるガレーラカンパニーを招いた、ということだろう。
ガレーラ代表ということで、パウリーとルッチの名前がしっかりばっちり、記されていた、当然アイスバーグも来るのだろう。それはうれしいが、CP9としてではなく、大工としてロブ・ルッチが来ることがにはなんだか、面倒くさいことになりそうで遠慮したい。そしてばっちり、ドフラミンゴの名前も見つけてしまった。

「……」

センゴク、絶対、これ、狙っているんじゃないかとは思う。いや、それか自分も参加して堂々とおつるさんを誘う気か。そんなことを邪推しながらはぐっと、書類を握り締めた。

「サカズキ!!ぼくも出る!!!」
「却下。無理じゃろうがい。貴様は大人しゅうわしの応援でもしちょれ」

それは明らかにロブ・ルッチとドフラミンゴへの嫌がらせですね☆戦意を削ぐもっとも効果的な戦法ですね!!あ、さんの手製の着物をしっかり着用しているのも嫌がらせの一つですか!!さっすがドSの男!!と、褒め称えてやりたいほど、清々と言い切ったサカズキ。は一瞬は不服そうな顔をしたものの、半分遊びのような状況で、サカズキのことを力いっぱい応援できるその状況を考えた。

それは、かなり楽しいのではないか。

こう、野球チームを応援するマネージャーかなにかの心境。がんばって!と応援するその雰囲気に対する、憧れ。

、時々妙なものに憧れる。

目をキラキラと輝かせて、はサカズキを見上げぐっと決意するように叫んだ。

「わかった!ぼくがサカズキを甲子園に連れて行くよ!!!」
「脳内でどうなったらそうなるのかさっぱりわからんが、とりあえず着替えろ」

暴走するを冷静に制する。サカズキはしゅるりとの腕を縛っていた帯を解き、仕度を手伝おうとして、目を細めた。

「一度、風呂に入った方がよさそうじゃのう」
「っ…え、あ、うん、そのつもり」

膝を立てていた所為かは知らないが、の下腹部からは明け方まで続いた熱の名残があふれ出している。ぐいっと足を開いてサカズキが確認すればは顔を赤らめた。どの道着替えるときに自分で処理をしてしまおうと思ったいたのだが、こうしてサカズキに気付かれると顔から火が出るほどに恥ずかしいものである。

「わしが手伝えば余計に時間がかかる。一人で出来るな?」
「で、できるよ!」
「30分後に呼びに来る。それまでに仕度を終えろ」

一方的に言われて、そしてそのままサカズキが出て行く。はあわてて時計を見、時間を覚えるとそのまま風呂場へ駆け込んだ。

そうして30分後、仕度を終えたとサカズキが会場となっている広場へ行く途中、今年は参加することになったらしいクザンや、毎年恒例のボルサリーノ、それに帰郷していたピア(特別出演)と遭遇し、3大将+2魔女は一緒になって広場に顔を出すことになるのだった。



FIN




次回予告

さて、今年はひと騒動ありそうな「迎春羽根突き大会」の勝者は誰か、そして組長はさんを狙う阿呆どもに堂々と嫌がらせをしつつ、さんを守ることが出来るのか、年始からみかんを食べ過ぎて手が黄色くなった人、コタツの中で丸くなりながら待て!!!←





(2010/1/3 1:07)